2012 Fiscal Year Annual Research Report
環境・経済的持続可能性と人材移転に関する混合相補性条件の分析手法の提案
Project/Area Number |
23760504
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田畑 智博 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 講師 (40402482)
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Keywords | バイオマス / 人材移転 / ライフサイクルアセスメント / CO2排出量 / コスト / 混合相補性問題 / Waste to Energy / 排出抑制 |
Research Abstract |
本研究は、環境・経済的持続可能性と雇用の維持に着目し、将来発生しうる衰退産業から環境産業への人材移転の方法論を提案することを研究の目的とする。主要な研究課題は、(1)エネルギーシステムの構築による GHG削減可能ポテンシャルと現状の労働需給構造とのギャップの評価、(2)衰退産業と環境産業とのスキル類似性を踏まえたスキルマッチングシステムの構築、 (3)炭素クレジット売却益等による所得補償を制約条件とした労働需給、 GHG削減効果、経済性の分析とこれを踏まえた人材移転方法の提案である。平成23年度では、上記研究課題の(1)と(2)を精緻化するとともに、(3)に取り組んだ。 研究課題(1)では、昨年度に引き続き廃棄物系バイオマスのGHG削減ポテンシャルの評価を実施し、排出抑制が再生可能エネルギー生産に及ぼす影響を評価した。木質系バイオマスについては、建設業から林業への人材移転に着目し、建設業から林業への人材移転可能人数を推計した。切捨間伐材の集材・搬出を対象とした結果、全国で約1万5千人の人材が必要であり、そのうちの約80%を建設業の余剰人員でまかなえることが明らかとなった。研究課題(2)では、森林組合に対してアンケート調査を実施し、切捨間伐材の集材・搬出に必要なスキルを割り出した。抽出したスキルと建設業が持つスキルとをマッチングさせることで、建設業から林業への人材移転可能性を分析した。研究課題(3)では、建設業から林業への人材移転が可能になることに伴うGHG削減可能量を算出した結果、年間約240万tのGHGが削減可能であることがわかった。また、人材移転に伴う所得補償を加味して、経済効果を算出した結果、年間約200億円の黒字になることが明らかとなった。
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