2012 Fiscal Year Annual Research Report
油脂植物ジャトロファに含まれる毒性物質ホルボールエステルの生分解に関する研究
Project/Area Number |
23760505
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
赤尾 聡史 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30448196)
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Keywords | ジャトロファ / ホルボールエステル / 自然分解 / 菌叢解析 |
Research Abstract |
化石燃料の代替物が模索される中,半乾燥地でも生育が可能とされる油脂植物ジャトロファの生産が進められている.ただし,ジャトロファは毒性物質ホルボールを含有するため,ホルボールの自然分解に関する知見が必要である. 平成24年度は,ジャトロファ種子破砕物を培養実験に供し,その後ホルボールを抽出する方法でホルボールの分解を観察した.畑土壌培養液を植菌として用い,熱帯地域を想定し35℃で培養した結果,28日間で約26%ホルボール含有量が低下し,1次反応的な分解が起こった.滅菌状態のまま維持したコントロールでも酸化によると思われる3%程度の分解が見られたが,培養によりホルボールが有意に分解されることを確認した.1週間ごとに菌叢変化を観察すると,1週間目以降は培養開始時と異なる安定した菌叢が形成された.科レベルの菌種推定では,Enterobacteriaceaeが終始優占種として存在した.一方,Clostridiaceaeは1週間後には見られず,同分解に関与していないことが分かった.また,ジャトロファから抽出したホルボールを用いて,光分解および酸/アルカリによる加水分解を検討した.光分解でも分解は1次反応的に進み,遮光系ではほとんど分解しない結果に対して10日間で約31%の分解を観察した.加水分解については,アルカリ条件において97%以上の分解を確認した. 平成23年度から通じた結果として,ホルボールは1)生物により分解が促進される,2)光によって分解される,3)アルカリにより加水分解できる,ことが示された.1)および2)から,ホルボールが環境中にリークした場合,速やかとは言えないまでも自然分解される可能性の高いことが示された.また,廃水処理を考えた場合,アルカリ加水分解により速やかにほぼ完全に処理できることが示された.なお,分解により生じた分解産物の毒性評価が今後の課題である.
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