2012 Fiscal Year Research-status Report
浄水処理により生成するニトロソアミン類のサブpptレベルでの動態解明
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23760506
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
児玉谷 仁 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (30434468)
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Keywords | ニトロソジメチルアミン / 水道水 / HPLC / 化学発光 / ルミノール / 紫外線照射 |
Research Abstract |
本年度は,NDMA分析システムのランニングコスト低減のため3-pumpシステムを導入した.これまで2-pumpシステムを採用していたが,NDMA検出のためにはpH10前後の溶液をカラムに流す必要があり,カラムの劣化が激しく安定的な分離が難しく,またコスト面でも多大な負担となっていた.そこでカラム分離後にpHを調整するための溶液を混合する第三のポンプを有するシステムを構築した.また,3-pumpシステムを導入したことによりカラム選択の幅が広がったため,分離条件を再検討した結果,他物質のピークとNDMAのピークが重なっていたことが明らかになった.検出原理として用いているルミノール発光試薬は,酸化剤と発光反応を起こすため,還元剤としてアスコルビン酸を試料に添加したところ,NDMAピーク近傍に現れるピークを含め,いくつかのピークが消滅することを確認した.よって試料の前処理としてアスコルビン酸を添加することとした. 鹿児島市水道局の御協力の下,3つの浄水場(河頭,滝の神,平川)で1年間を通し,各浄水過程(原水,混和水,沈殿水,ろ過水,浄水,配水)の水を2週間に一度採取,測定し,データを蓄積した(n=246).滝の神浄水場では1年間を通し,1 ng/L前後のNDMAが配水から検出されたが,平川浄水場では検出されなかった.一方,河頭浄水場では4~8月にかけて0.7 ng/L前後のNDMAが検出されたが,8月以降は検出されなかった.これら3つの浄水場は同じ浄水法(急速濾過法)を採用しており,これらNDMA濃度の違いは原水の水質に依存しているものと考えられる. また全国16か所の蛇口水の測定を2012年7月および2013年2月に行った.2月のデータでは,高度浄化処理を採用した都市部の水で5 ng/L程度のNDMAが検出されたが,いずれもモニタリング目標値(100 ng/L)以下であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の遅れを取り戻し,順調に測定を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
鹿児島市の水道に関しては,継続測定と蓄積したデータを基にモデル実験を行う.また全国調査で得られた結果から,特に高いNDMA濃度が確認された地点の年間を通したモニタリングを行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
NDMA分析装置の維持費(分析カラム,保守部品)が主となる.また,試料採取や成果発表の旅費,試料郵送費などを計上する予定である
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