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2011 Fiscal Year Research-status Report

嫌気性芽胞菌の毒素遺伝子および生化学的性状による分類とより高度な指標としての利用

Research Project

Project/Area Number 23760508
Research InstitutionPrefectural University of Hiroshima

Principal Investigator

橋本 温  県立広島大学, 生命環境学部, 准教授 (30332068)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords嫌気性芽胞菌 / ウェルシュ菌 / 毒素遺伝子
Research Abstract

嫌気性芽胞菌は水域の原虫汚染の指標として用いられている。その検出方法から、ポリミキシンBなどに耐性を有し、嫌気性、亜硫酸還元性の芽胞菌から構成されるグループで、保存性の高い糞便汚染の指標とされるウェルシュ菌を含むと考えられている。一方で、各水域や汚染源ごとの構成菌種については明らかになっていない。 本研究では家畜排水、人由来の排水および河川水などから嫌気性芽胞菌を分離して、毒素遺伝子の保有状況からウェルシュ菌の存在率と汚染源ごとの構成菌種の違いを評価して、嫌気性芽胞菌の有用性を評価することを目的として調査を実施した。 本年度は家畜系排水として養豚場の排水、人由来排水として、下水処理場流入水を対象に、嫌気性芽胞菌を分離して調査を行った。 ウェルシュ菌はレシチナーゼを主体とするα毒素を賛成するが、α毒素をコードするCpa遺伝子の保有状況から嫌気性芽胞菌のうちのウェルシュ菌の割合を求めた。人由来の排水では分離株のうち97%(n=59)がα毒素の遺伝子を有しており、ウェルシュ菌と同定されたが、養豚排水においても92%(n=79)がウェルシュ菌であり、糞便汚染の強度の高い試料においては多くがウェルシュ菌であった。 また、人の食中毒に関与するエンテロトキシンをコードするCpe遺伝子の保有株は人由来の排水では31%(n=124)に対して養豚排水からは検出されなかった(n=105)。また、河川水からは牛などの疾患の原因となるι毒素をコードするIpa遺伝子の保有株が23%(n=60)検出されたが、養豚排水では1株、人由来の排水では全く検出されなかった。 このことから、ウェルシュ菌の毒素遺伝子を指標として、嫌気性芽胞菌を分類することで、さまざまな汚染源の関与を推定できる可能性が示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、人由来の排水、家畜系排水および河川水について、多くの試料を季節的な変動も踏まえて調査する必要がある。交付申請時の調査計画通り、本年度には、人系の排水と家畜系の排水(特に養豚場の排水)を対象に嫌気性芽胞菌を分離、定量し、その毒素遺伝子について調査を実施した。遺伝子を調査したサンプル数はほぼ計画通りであり、他に遺伝子検索用の試料として凍結したサンプルを多数確保することができ、今後の調査に用いることも可能となった。 以上のように計画によって予定していた調査が十分に実施でき、次年度の調査への基礎も作ることができたため、本年度の目的はおおむね順調に進展していると評価した。

Strategy for Future Research Activity

現在までに人由来および養豚場の排水から嫌気性芽胞菌を分離して、毒素遺伝子の調査を行った。現状では嫌気性芽胞菌の有用性や水域ごとにどのような毒素遺伝子型が検出されるか、など嫌気性芽胞菌の指標としての評価に十分な数のサンプルの解析には至っていないため、人由来および豚由来の排水の調査を継続し、十分なサンプル数を確保する。そのうち、人由来の排水については、現在の調査地点に加えて、数か所の下水処理場のデータを集めることで、より普遍的な結果を得る方向で検討する。 また、家畜系排水はその確保が難しいが、現状で2か所の牛の排水のサンプリングが可能であり、養豚場でのデータに加えて、牛の排水についても同様に嫌気性芽胞菌を分離して、その毒素遺伝子の保有状況を評価してゆく。また、河川水の調査もサンプリングに最適な個所の選定やその流域情報の入手などについて、調査を開始する。 これらの調査を次年度の中心において実施するとともに、データを整理解析することで、さらに、嫌気性芽胞菌の水の糞便汚染指標としての意義やソーストラッキング指標としての有効性やその有効な利用法などについて考察する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度には、現在までの調査対象である人の排水、養豚場排水について、嫌気性芽胞菌の分離・定量を継続して行って、嫌気性芽胞菌の指標としての意義やソーストラッキング指標としての有効性を評価するために十分な情報を確保する。また、新たな資料として河川水や他の家畜系の排水についても調査対象を拡大する。 これらの調査を実施するにあたって、嫌気性芽胞菌の分離操作に必要な消耗品(培地、細菌試験用のシャーレ等)、嫌気性芽胞菌の遺伝子検査に必要な消耗品(PCR用酵素、電気泳動用アガロースなど)が必要となることから、これらの調査実験に必要な消耗品の購入を中心に研究費を使用する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2011

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 各種水環境から分離した嫌気性芽胞菌の分類2011

    • Author(s)
      住吉佑介,七種健一郎,河村俊輔,橋本温
    • Organizer
      第11回環境技術学会研究発表大会
    • Place of Presentation
      大阪
    • Year and Date
      20110000

URL: 

Published: 2013-07-10  

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