2011 Fiscal Year Research-status Report
定着部組込型ダンパーを用いたアンボンドPCaPC圧着接合構造の提案とその構造特性
Project/Area Number |
23760514
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
越川 武晃 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10399983)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | PCaPC構造 / アンボンド / ダンパー / 損傷制御 / 動的応答 |
Research Abstract |
本研究は、アンボンドPCaPC圧着接合構造を対象として、PC鋼材の定着部に弾性バネと粘(弾)性系の減衰材からなるダンパーを組み込んだ上で一体化を図る新たな構造形式を提案するものである。本研究では、提案構造の全体挙動を対象とする数値解析と損傷領域に限定したより詳細な3次元有限要素解析の2種を用いて、その構造特性の定量評価を図ることを主な目的とする。本年度に実施した研究内容は以下のとおりである。[1]定着部組込型ダンパーを有するアンボンドPCaPC圧着接合構造のための動的応答解析法の開発を行った。解析法は、梁・柱要素をベースとし、これにダンパー要素を付加することで構築した。この解析法を用いたパラメトリック解析により、定着部組込型ダンパーによる減衰特性とPCaPC圧着接合構造の動的挙動について、最も基本的な弾性応答性状に関する検討を行った。パラメータには、ダンパーの性能やその配置形態等といった建物の挙動に影響を及ぼすと思われる項目を選択し、それぞれの影響についての定量評価をおおむね実施できた。[2]3次元有限要素解析システムを用いて、アンボンドPCaPC圧着接合構造の損傷評価に関する検討を行った。既往のアンボンドPCaPC圧着接合工法による試験体の解析を実施し、あわせてより簡易な解析法を用いた予備解析の結果も併用することで、おおむね最適な解析パラメータの同定を行うことができた。次いで、解析対象の諸条件を変化させた試験体規模のパラメトリック解析を行い、部材の損傷程度に影響を及ぼすパラメータとその影響度合いを把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題における本年度の目的は、提案構造のための動的応答解析法の開発とその弾性応答性状に関する検討、ならびに3次元有限要素解析システムを用いたアンボンドPCaPC圧着接合構造に対する試験体規模の損傷評価の実施であり、これらはおおむね遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従って、提案構造のための動的応答解析法の拡張とその非線形応答性状に関する検討、ならびに3次元有限要素解析システムを用いた実大規模のアンボンドPCaPC圧着接合部分架構に対する損傷評価等を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、研究費の目途が立たない時期もあり、与えられた研究費の範囲内でより効率的な使用に努めた結果、研究費に未使用額が生じた。次年度の研究費は、当初の予定に沿って、3次元有限要素解析システムの継続使用にかかる保守料や研究成果発表のための旅費等に充て、本研究課題を遂行する。
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