2011 Fiscal Year Research-status Report
相互作用の影響を受ける建築物の最大地震応答評価手法の開発
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23760516
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
秋田 知芳 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60512374)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 地震応答評価 / スウェイ / ロッキング / 減衰定数 / 高次モード応答 / プロトタイプ / 静的非線形荷重増分解析 / 時刻歴地震応答解析 |
Research Abstract |
本研究では、相互作用の影響を受ける建築物の最大地震応答評価手法の開発に関して、(1)静的非線形荷重増分解析結果に基づくスウェイおよびロッキングの減衰評価手法の開発、(2)等価1自由度系の応答値に高次モード応答を考慮する手法の開発、(3)相互作用の影響を受ける建築物に対する簡便で実用的な地震応答評価手法の開発の3つの達成目標を設定している。本年度は、上記(1)および(2)に関して、評価手法を構築すると共に、その妥当性についての検証をプロトタイプとなる建築物を用いて行った。 評価手法は、研究代表者らによる既往の研究成果に基づいて構築した。構築した評価手法を適用するためのプロトタイプ建築物として、2種地盤上に建つ8階建の鉄筋コンクリート造建築物を設定した。当該建築物は、張間方向が1スパンの連層耐震壁、けた行方向が6スパンの純フレーム構造となっており、張間方向で相互作用の影響を大きく受けるものとなっている。当該建築物の静的荷重増分解析を実施して、その結果を用いて当該建築物を等価1自由度系へと縮約し、提案する評価法によって最大地震応答値を算出した。 妥当性の検証は、構築した評価手法によって求めた最大地震応答値と、時刻歴地震応答解析から得られる最大地震応答値とを比較することによって行う。しかしながら、時刻歴地震応答解析に用いる解析モデルの構築に予想以上の時間を費やしたため、時刻歴地震応答解析は、予定していたものの一部を実施するにとどまった。そのため、妥当性の検証については未了となっている。 本年度の研究の主な成果は、(1)評価手法の構築、(2)提案手法による最大地震応答値の算出、(3)評価手法の妥当性および適用範囲の検討を行うための時刻歴応答解析用の解析モデルの構築の3つである。上記の成果は、次年度の研究を行うために必要不可欠なものであり、次年度の研究遂行ならびに本研究の目標の達成に向けて、有意なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、相互作用の影響を受ける建築物の最大地震応答評価法の構築とプロトタイプ建築物を用いて妥当性の検証を行うことを計画していた。評価法の構築および提案する評価法によるプロトタイプ建築物の最大地震応答値の算出については、計画通り実施できた。一方で、妥当性の検証については、時刻歴地震応答解析に用いる解析モデルの構築に予想以上の時間を費やしたため、作業が停滞し、妥当性の検証を終えることができなった。当初の到達目標まで至っておらず、次年度に継続して作業を行うこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に完了できなかったプロトタイプによる妥当性の検証を早期に実施した後、当初の予定通り、評価手法の適用範囲の検討を行うためのパラメトリック解析を実施する。 パラメトリック解析については、計画している6つのパラメータのうち、必須のパラメータである「建物高さ」、「地盤剛性」、「入力地震動」の3つについて優先的に検討を行う。これら3つのパラメータに関する検討を行うことにより、各種の地盤上にある低層から中層までの建物の地震応答評価への適用性を探る。なお、残り3つのパラメータである「基礎の埋め込み深さ」「杭長」「杭径」については、研究の進捗状況によって、実施するかどうかを判断していきたい。 また、パラメトリック解析は膨大な作業量となるため、大学院生の協力を得ることに加え、解析用計算機の追加購入または性能向上によって、より効率的に行える体制を整えて、滞りなく進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、予定通り解析用計算機および解析ソフトの導入を行った。しかしながら、研究の進捗状況に合わせて行う予定であった打合せと、情報収集のための学会参加を行わなかったため、次年度使用額が208,790円生じた。 次年度請求分と合わせた研究費は、当初の計画において予定していた、解析ソフト保守料および研究成果発表費(投稿料および学会参加費)の他に、研究の遅れを取り戻すため、解析の効率をより上げるために使用する。具体的には、解析用計算機の追加購入もしくは、本年度購入した解析用計算機の性能向上を計画している。
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