2012 Fiscal Year Annual Research Report
崩壊機構の異なる鉄筋コンクリート造架構の損傷量進展過程に基づく構造性能定量化
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23760517
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 典之 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (60401270)
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Keywords | 鉄筋コンクリート構造 / 全体崩壊型 / 被災度判定 |
Research Abstract |
我が国では1981年以前の旧基準で設計された層崩壊型の建物を中心に地震被害が生じたこれまでの経験から,各層の鉛直支持部材の耐震性能に着目した被災度判定手法が整備されてきた。しかし,東海,東南海,南海地震などの来たるべき大地震では,現行基準で設計された全体崩壊型の建物も被災し,地震後に多くの部材が損傷し建物の機能が失われることが予想される。ところが,新基準で設計された全体崩壊型の建物について,被災建築物の被災度を評価する具体的な基準は定められていない。そこで,現行基準で設計された全体崩壊型の架構に生じる地震損傷の進展に応じて各部材が架構の崩壊メカニズム形成に与える影響を考慮した構造性能の定量的評価手法について検討を行った。 まず初めに,梁に生じる損傷について,目視可能な損傷と部材の荷重-変形関係に現れる力学的特性の関係を定量化すべく,鉄筋コンクリート造梁部材を対象に,ひび割れ長さ・ひび割れ幅・コンクリートの剥落量を総合的かつ定量的に示すため基礎データ収集を目的とした静的載荷実験を行い,特にひび割れ発生間隔やひび割れ長さの進展について定量的な情報を得るとともに,断面解析を用いた簡便なひび割れ長さの推定手法を提案し,提案した推定手法の妥当性について検討を行った。 次に,現在の構造設計の主流である梁降伏型鉄筋コンクリート造建物を対象として,建物のエネルギー吸収能力に基づき地震による建物の安全限界までの余裕度の減少度合(全架構耐震性能残存率)を算出する手法を提案した。また,工学量に基づき「被災度」に代わる「特徴区間」を定義して,全架構耐震性能残存率との関係について検討した。その際,前述の実験結果等を参考に部材の見た目の損傷量(損傷状態)から建物の全架構耐震性能残存率を算出する手法(略算法)を提案し,梁降伏型鉄筋コンクリート造架構への適用方法についての提案を行った。
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Research Products
(9 results)