2011 Fiscal Year Research-status Report
持続型社会に適した超軽量合成構造におけるボルト接合部の力学特性解明
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23760522
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
松本 幸大 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00435447)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | FRP / ハイブリッド構造 / 空間骨組構造 / 摩擦係数 / クリープ試験 |
Research Abstract |
FRP形材と鋼ガセットプレートとを用いた接合部に対して長期ボルト軸力モニタリングを行い,張力低下を定量的に評価するための実験結果を収集した。具体的には,ボルトの軸部に歪ゲージを埋め込みボルト張力を精度よく計測できるよう加工したM20ボルトとブラスト処理された鋼板,板厚6.3mmのGFRP形材によるボルト接合部を対象として,座金の大きさ2種類(40および56mm),締め付けトルク値(60,150,300および475N.m),さらに締め付け工程として1次締めの後1時間,6時間を経過させた試験体についてボルト軸力モニタリングを行った。結果として,面積の大きい座金を用いることで張力低下が改善されることや,50年後の予測として50%程度まで張力が低下することを明らかとした。FRP形材と鋼材ガセットを用いたハイブリッド構造高力ボルト摩擦接合部の長期接合部耐力の変化を明らかとするため,ボルト締め付け後,一カ月における接合部引張載荷実験を行い,耐力・破壊性状を分析した。一カ月の養生期間中は長期軸力として30kNおよび60kNを導入し続け,接合部のクリープ性状も同時に観察した。結果として,部材としてのクリープは生じないこと,一カ月程度の養生期間を設けることでボルト張力は低下するものの摩擦係数は0.7程度の大きな値が得られ,従来,支圧接合設計されていたこの種の合成構造において,摩擦耐力も期待できることを明らかとした。実験を実施した接合部周辺の有限要素解析を行い,実験結果より得られた荷重変位関係との同定を行うことができ,接合部のパラメトリック解析環境を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)FRP形材と鋼ガセットプレートとを用いた接合部に対する長期ボルト軸力モニタリング試験として30試験変数,約50試験体を行うことができ,張力低下を定量的に評価するための実験結果を収集できたこと,(2)長期軸力を導入したFRP形材と鋼材ガセットを用いたハイブリッド構造高力ボルト摩擦接合部の変化観察および一カ月における接合部引張載荷実験について4試験変数,8試験体を行うことができ,摩擦係数,耐力,破壊性状を明らかにできたこと,また,(3)接合部のパラメトリック数値解析モデルの構築ができたことから,おおむね順調に進展させることができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
FRP形材と鋼ガセットプレートとを用いた接合部の長期ボルト軸力低下モニタリングについては,鋼材面の摩擦面処理方法やFRP形材の板厚をパラメータとした追加実験を行い,張力低下を定量的に評価するための実験結果を収集と張力低下を改善するための手法について分析を行う。具体的には,9mm程度の板厚を有する添え板を介してFRPに伝達される締め付け力を分散させること等を予定している。FRP形材と鋼材ガセットを用いたハイブリッド構造高力ボルト摩擦接合部の長期接合部耐力の変化については,ボルト締め付け後,一カ月を超える養生期間を設けた接合部引張載荷実験を行い,耐力・破壊性状を分析すること,また,ボルト張力低下を改善した締め付け方法を採用した接合部について,その耐力への影響を分析する。有限要素解析では,ボルト締め付けに伴う接合部周辺の応力分布性状の分析を行い張力低下との関係を分析すること,また,接合部のボルトピッチ,端空きをパラメータとしたパラメトリック解析を実施し合理的なFRP/鋼ハイブリッドボルト接合部のディテールについて分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に用いる歪ゲージ等の消耗品代として560千円程度(校正付ボルト張力測定用ゲージ・東京測器社製BTM-6C:20千円×5枚,温度補正付2軸歪ゲージ・東京測器社製FCA5-11-3LT:1千円×200枚,温度補正付1軸歪ゲージ・東京測器社製FLA5-11-3LT:0.5千円×400枚 等),パラメトリック数値解析を行うためのコンピュータとして150千円程度,また,研究成果公表のための論文投稿費,学会参加・発表旅費(日本建築学会大会,FRP CON-EX講演会 等)として290千円程度を使用する計画である。
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Research Products
(1 results)