2011 Fiscal Year Research-status Report
ノイズを考慮した物理パラメター同定法を用いた制振構造物の高精度縮約モデリング
Project/Area Number |
23760525
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉富 信太 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30432363)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 縮約モデル / 曲げせん断モデル / システム同定 / 物理パラメター同定 |
Research Abstract |
制振機構を有する建築構造物の設計においては,多数回の時刻歴応答解析を用いた試行錯誤が必要であり,合理的な制振ダンパーの設計法や配置法の整備が期待される.本研究課題では,制振建物の最適設計問題における,時刻歴応答解析に基づく応答感度計算の負荷を低減するために,ダンパーの効き具合を適切に反映できる高精度かつ計算負荷の小さい縮約解析モデルの構築を目的とする.平成23年度は,主として,「制振骨組構造物の高精度縮約モデルの構築」,「曲げせん断モデルに対するシステム同定理論の構築」に関する研究に取組んだ.以下に各項目の概要を示す.(1)制振骨組構造物の高精度縮約モデルの構築 これまでに,多自由度の原モデルの応答をそれよりも自由度の小さい縮約モデルを用いて評価する手法が研究されている.一般的な手法は,原モデルと縮約モデルの応答がよく対応するようにモデルの縮約法を工夫するのに対し,本研究では縮約モデルに作用させる荷重を調整することにより,縮約前後のモデルの応答の等価性を保証する点に特徴がある.特に振動数領域の応答の等価性を導入することにより,任意のモデル化に対応可能でかつ,変位だけでなく,速度,加速度についても理論的に等価性を保証できる高精度な手法を可能とした.(2)曲げせん断モデルに対するシステム同定理論の構築 これまでに,せん断モデルの剛性や減衰等の物理パラメタを同定する手法が多く提案されている.本研究課題では,骨組モデルとより対応のよいモデルである曲げせん断モデルの同定法を構築した.曲げせん断モデルはせん断モデルと比べて,高層骨組モデルの上層部の全体曲げ変形を表現できるため,骨組モデルと応答がよく対応する.本提案手法を利用することにより,骨組モデルの縮約モデルとして曲げせん断モデルを構築することが可能となる.提案手法の妥当性を示すための実験による検討を開始した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縮約モデルによる応答評価精度向上のために荷重を変換する理論を構築した.また曲げせん断モデルの同定法の理論を構築した.本研究課題の根幹をなす両理論を構築したことにより,概ね計画通り研究が進んでいるといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,構築した理論を検証するために,数値シミュレーションに加え,実験データあるいは実際の建物の実測データを利用する予定である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は,理論の構築に重点を置いたため,実験関連の経費の一部を次年度に使用することにした.これを含めて,主として数値解析のためのPCとソフト,実験関係の機器と試験体に使用する予定である.
|