2012 Fiscal Year Annual Research Report
地盤改良を用いた杭頭損傷低減基礎の開発と構造性能の把握
Project/Area Number |
23760526
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柏 尚稔 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40550132)
|
Keywords | 基礎構造 / 杭の水平抵抗 / 振動実験 / 水平載荷実験 |
Research Abstract |
杭基礎は多くの構造物に用いられている基礎形式であり、上部建物の足元を支える重要構造物である。杭基礎が破壊されれば上部建物を支持する機能を失って上部建物は倒壊し、人命の損失に繋がる可能性がある。兵庫県南部地震以降、杭の耐震性能を向上させるために、杭頭部に被害を集中させない杭頭半剛接合構法など、杭の新工法が数多く提案されている。しかし、新設杭を対象としている工法が多く、既存杭の耐震性能を向上させる工法の数は少ないのが現状で、低コストで簡易な杭基礎の耐震補強法の開発が急務である。そこで、本研究課題では、大地震における杭頭の損傷を低減するため、杭周囲の地盤に対して地盤改良を適用する杭基礎の耐震補強法に着目し、地盤の水平抵抗力を増大させることによって杭頭部の損傷を低減させるとともに、改良地盤および杭周地盤の変形により地震エネルギーを吸収させ、杭基礎だけでなく上部建物の地震応答も合わせて低減させる地盤-杭基礎建物連成機構を提案することを目指して、模型振動実験と原位置静的水平載荷実験を実施し、杭周囲の改良地盤が杭基礎建物の地震応答及び水平抵抗性状に及ぼす影響を把握した。 最終年度では、原位置地盤において、杭周囲に地盤改良を施した杭の静的水平載荷実験を実施し、実建物で用いられる地盤・杭に極めて近いスケールで、改良地盤が杭の水平抵抗力に及ぼす影響を明らかにした。具体的には、・杭周囲の地盤を地盤改良することにより、杭の水平抵抗力は増大し、杭に生じる地中部の曲げモーメントは大きくなり、さらに、杭周地盤は浅い位置で杭に抵抗するようになること、・改良地盤に繊維材を混入することによって改良地盤のひび割れが抑制され、繊維材を混入しない場合に比べて改良地盤による杭の水平抵抗力の増大効果が大きくなる、という知見を得られた。
|