2011 Fiscal Year Research-status Report
コンクリート充填鋼管柱のせん断破壊性状に関する基礎的研究
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23760528
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中原 浩之 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (60315398)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | コンクリート充填鋼管柱 / せん断破壊 / 曲げ破壊 / 円形断面 / CFT指針 / せん断スパン比 / 履歴性状 / アーチ機構 |
Research Abstract |
通常のプロポーションのコンクリート充填鋼管(CFT)柱は,せん断耐力が大きいため曲げ破壊することが多い.このため,CFT 柱のせん断破壊に関する研究はほとんど行われていないのが現状である.しかしながら,柱のせん断スパン長さa と柱せいD の比a /D(せん断スパン比)が小さい極短柱(a/D=1.0 以下)では,曲げ耐力に達することなく破壊する現象が,崎野らの研究(日本建築学会構造系論文報告集, 353 号, 1985.7.)によって実験的に示されている.この実験研究の対象は,角形断面のCFT短柱である. 2008年に改訂された「コンクリート充填鋼管構造設計施工指針」では,数多くの実験データが参照されているが,円形CFT 短柱のせん断破壊に関する参照データは無く,実験的検証は不十分である.CFT構造研究の一貫性を鑑みると,円形CFT 柱のせん断性状についての研究のみが欠落していることは,CFT 構造の設計自由度を制限することにもなりかねず,これを実験的に検討することは重要であると考えられる. これまでに,a/D=0.5とした8体の円形CFT試験体を作成し,水平加力実験を実施した.試験体に完全な逆対称変形を与えるには,水平力を与える油圧ジャッキの軸線が,試験体の中央に水平に通っていることが必須の条件となる.しかしながら,全載荷過程において,上記を満たすことは難しく,実際の試験体のa/D は0.5よりも大きくなった.そのため8体中,2体は曲げ破壊により最大耐力が決定された.残りの6体は,a/Dの変動を小さく留めることができ,鋼管のせん断断降伏が先行して,せん断破壊により最大耐力を発揮した.円形CFT柱は,せん断破壊する場合も,曲げ破壊する場合と同等の優れた履歴性状を示すことや,せん断破壊した試験体の最大耐力は,現行CFT指針の終局せん断耐力式で安全側に評価できることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に8体のせん断実験が終了しており,降伏強度及び最大耐力に関する評価も終了している.また,円形CFT柱を履歴ダンパーとして利用した建物モデルを設計し,これを対象とした動的応答解析も終了している.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,さらに8体の実験試験体を作成し,水平加力実験を行う.これまでの実験で,加力時において油圧ジャッキの軸線を保つことの困難さと注意点が明らかになったので,これらを踏まえて,a/Dの変動を小さく留めた実験を行う.また,前年同様,実験結果の評価法の検討と,建物の解析も継続して実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定通り,さらに8体の実験試験体を作成し,水平加力実験を行う.また,前年同様,実験結果の評価法の検討と,建物の解析も継続して実施する.
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Research Products
(3 results)