2012 Fiscal Year Annual Research Report
サブストラクチャ擬似動的実験を用いた非線形弾性骨組の残留変形に関する研究
Project/Area Number |
23760529
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
小幡 昭彦 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (30433147)
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Keywords | 建築構造 / 鋼構造 / 非線形弾性復元力特性 / サブストラクチャ疑似動的実験 / 残留変形 |
Research Abstract |
本研究の目的は,非線形弾性復元力特性と呼ばれる特殊な復元力特性を有する鋼構造骨組を対象にサブストラクチャ擬似動的実験を行い,非線形弾性復元力特性を有する骨組が大地震時においても被害が少なく,損傷を軽微に留められることを確認することである。本研究では,これまでの実験で発生した試験体部分の数値積分時における不釣り合い力の影響を極力取り除くために実験システムを改良し,その後,新システムでの実験結果より残留変形について新たな考察を加える。 実験システムにおける中核を成す数値計算プログラムの改良については,下記の二項目について新たに加えた。一つ目として,部材端部にこれまでに使用してきた非線形弾性回転バネに加え,新たに非線形弾塑性回転バネを直列に組み込み,部材の塑性化を再現できるようにした。これまでに行ったサブストラクチャ擬似動的実験の一次実験では,実験システムの確立および架構全体の応答特性性状の把握を目的としていたため,数値計算上の部材は弾性部材として取り扱っていた。これにより,本実験では,部材の塑性化による材料非線形を検討することができ,極大地震時における残留変形の評価が可能である。二つ目として,不釣り合いモーメントの解消についてであるが,これについてはサブストラクチャ擬似動的実験の性質上,不釣り合いモーメントの影響を各stepで解除するのは困難である。本実験では,特に不釣り合いモーメントの大きな増分stepにおいて時間刻みをさらに細かく分割して計算を行うことで,不釣り合い力を極力低減する方法を採る。 実験は残留変形に着目する為に,従来の剛接合の柱梁接合部を有する対象架構と非線形弾性復元力特性の柱梁接合部を有する対象架構の二種類で行い,比較をした。実験結果より,剛接合架構に比べ,非線形弾性架構の方が残留変形が小さく,非線形弾性復元力特性の有用性が示された。
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