2012 Fiscal Year Annual Research Report
中高層木造建築物の耐震性能の高度化を目的とした制振構造システムの開発
Project/Area Number |
23760534
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮津 裕次 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (70547091)
|
Keywords | 木質ラーメン構造 / 制振構造 / オイルダンパ / 鋼製仕口 |
Research Abstract |
本研究では、今後増加が予想される中層木造建築物の耐震性能の高度化を目的として、木質ラーメン構造への制振構造の適用に関する研究を行っている。具体的には、研究代表者がこれまでに木造住宅用に研究してきたオイルダンパを中規模木造に適用する構法と、柱梁接合部を鋼材によって構成する構法を提案し、同構法を用いることによる地震応答低減効果を解析と実験を通して検証している。 初めに、木質ラーメン構造の柱梁接合部の仕様として一般的に用いられている接合方式によって製作した柱梁仕口の実大試験体に対して静的載荷実験を実施し、実験で得た荷重変形関係を正確に模擬できる力学モデルを拡張NCLモデルにより作成した。 次に、作成した力学モデルを用いて4層の木質ラーメン構造の解析モデルを作成し、オイルダンパを設置することで粘性減衰を付加した場合と、ダンパは設置せずに主構造の剛性・耐力を増加させた場合の地震応答性状を時刻歴応答解析により比較した。解析では、オイルダンパを設置した場合には応答加速度を増大させることなく応答変形を低減できる一方で、オイルダンパを設置せずに建築物の剛性・耐力を増大させた場合には応答変形の低減効果は不規則であり応答加速度は増大する結果となり、オイルダンパを設置することで建築物を高減衰化することの優位性が認められた。同様に、柱梁接合部を軽量H形鋼で構成し鋼材の塑性化により吸収エネルギーを増大させる構法についても検討し、その有用性を確認した。 最終年度には、解析による検討結果の妥当性を確認するため、提案する2種類の構法によって製作した柱梁接合部の静的・動的加振実験を実施した。実験結果より、何れの構法も既往の構法と比較してエネルギー吸収性能を想定通り大幅に向上できたことから、本研究で得られた成果は木質ラーメン構造の耐震安全性の向上に極めて有効である。
|
Research Products
(3 results)