2011 Fiscal Year Research-status Report
軽量かつ高強度のラチスシェル設計に関する基礎的研究
Project/Area Number |
23760538
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
仁保 裕 呉工業高等専門学校, 建築学分野, 准教授 (10346687)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ラチスシェル / 形態最適化 / 部材曲げ応力度最小化 / 部材断面算定 / 複数の荷重 / 重量 / 最大耐力 |
Research Abstract |
本研究は軽量かつ強度の高いラチスシェル構造を設計する一手段を提案することを目的とする。申請者は平成21年,等分布荷重を受けるラチスシェルを分析対象とし,部材曲げ応力度最小化を目的とした形態最適化を実施したのち,部材断面算定を行うことにより,軽量かつ強度の高いラチスシェルが得られることを示している。本研究はこの成果を受け,複数個の荷重を受けるラチスシェルを分析対象とする。 平成23年度は9個のラチスシェルを分析モデルとし,(1)複数の荷重を受けるラチスシェルの形態最適化プログラム作成,(2)形態最適化されたラチスシェルの部材強度の検討,(3)形態最適化手法の妥当性検討,(4)部材曲げ応力度最小化を目的とした形態最適化がラチスシェルの重量に与える影響分析,ならびに(5)部材曲げ応力度最小化を目的とした形態最適化がラチスシェルの最大耐力に与える影響の分析を当初の研究計画として研究を行った。 上記のうち,(1)は平成23年度内に完了した。(2)については形態最適化されたラチスシェルの形状が部分円筒ラチスシェルに類似したものであったため,部分円筒ラチスシェルの部材強度をもって形態最適化されたラチスシェルの部材強度とした。形態最適化されたラチスシェルの部材強度については今後改めて検討する必要がある。(3)については形態最適化によりラチスシェルの部材曲げ応力度が小さくなることを確認した。(4)についても形態最適化と部材断面算定を行うことによりラチスシェルの重量が小さくなることを確認した。さらに(5)についてもラチスシェルの最大耐力が設計荷重を上回ることを確認した。 以上の成果は平成24年度内に日本建築学会大会等において発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するためには確率・統計的な分析が行えるまで結果を蓄積する必要がある。そのため最終的には数百個程度のラチスシェルを分析モデルとする予定である。当初の計画では平成23年度は準備期間であり,数個のラチスシェルを分析モデルとして分析を進めることとなっていた。 【研究実績の概要】欄に記載した平成23年度の実績より,当初の研究計画をおおむね達成できたことから,部材曲げ応力度最小化を目的とした形態最適化手法の開発を終えたと判断できる。これにより,平成24年度は当初の計画通りに確率・統計的な分析が行えるまで分析モデル数を増まして分析することが可能となった。一方で,形態最適化されたラチスシェルの部材強度に関する分析が不十分であることから,この点は今後,詳しく検討しなおす必要がある。 以上より,平成23年度の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の進捗状況がおおむね順調であると判断されることから,平成24年度は当初計画に従って研究を進める。すなわち,これまで数個の分析モデルを用いて試行的に分析を進めていたのに対し,分析モデル数を数百個程度に増やし,平成23年度と同様の手順で分析を行う。一方で,形態最適化されたラチスシェルの部材強度に関する分析が未だ不十分であるため,この点についても分析する予定である。 上記のように,分析モデル数が極端に増加することから,現有の計算機のみでは本研究課題遂行は困難である。よって平成24年度に計算機一台を新規購入する。また,資料作成にあたり,カラープリンタの必要性が認められたことから,カラープリンタ一台も購入する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度中に実施予定であった研究打ち合わせの出張が諸事情により実施できなかった。また,図表作成等の補助として学生に対する謝金も計上していたが,学生補助を雇うまでの仕事量が発生しなかった。以上の理由により\143,300円を平成24年度に繰り越している。 今年度の研究費使用計画は以下のとおりである。 5月に韓国ソウルにて開催されるIASS2012Symposium参加のための旅費等として200,000円程度使用予定。9月に名古屋市にて開催される日本建築学会大会参加のための旅費等として50,000円程度使用予定。その他,研究打ち合わせとして100,000円程度使用予定。 新規計算機購入費用として100,000円,コンパイラ購入費用として50,000円,それぞれ使用予定。資料作成のためのカラープリンタ購入費用として100,000円程度使用予定。他,文房具等購入費用として13,000円程度使用予定。 研究補助学生に対する謝金として30,000円程度使用予定。
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