2012 Fiscal Year Research-status Report
耐震補強の促進に寄与する高耐力・高剛性接合部材の開発とその力学的機構の解明
Project/Area Number |
23760542
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Research Institution | Tobishima Research Institute of Technology |
Principal Investigator |
高瀬 裕也 飛島建設株式会社技術研究所, -, 副主任研究員 (30515911)
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Keywords | あと施工アンカー / ダウエル効果 / シヤキー / 支圧応力 / 耐震補強 / 目荒らし / 間接接合 |
Research Abstract |
本研究課題では,①外側耐震補強に適用できる高耐力・高剛性の接合部材を開発すること,および②その支圧応力場の解明とその評価手法を確立することを,主な目的としている。平成24年度は,前者の目的を達成し得る,接合要素の形状を確定した。具体的には,直径60mmの円形断面で高さ約40mmの,鋼製円柱型部材を既存躯体に20mm程度埋め込み,さらに高強度鋼材のM16サイズのアンカーボルトを組み合わせることで,高いせん断耐力とせん断剛性を発揮することを,予備実験により確認した。 また後者②の目的を果たすべく,当初計画においては,平成24年度に,引張力とせん断力を与える接合部材の複合応力実験を実施する計画となっている。平成24年度は,この加力装置において引張力を与える肝となるサーボ型の油圧ポンプを選定し,平成23年度に開発した制御プログラムを使って,この動作確認を行った。 本研究課題では理論展開として,開発する接合部材の支圧応力場の解明,およびその評価法を構築することを目的に挙げており,その初期モデルとしてあと施工アンカーのダウエルモデル(第34回コンクリート工学講演会年次論文奨励賞受賞)を開発した。耐震補強の接合部では,あと施工アンカーのダウエル効果によるせん断抵抗に加え,目荒らしによる固着抵抗も期待されている。そこで平成24年度は,このダウエルモデルに,目荒らしによる固着抵抗モデルを組み込んだ。この改良モデルにより,接着系あと施工アンカーと目荒らしによって接続された,接合部試験体のせん断実験の結果を,良好に再現できることを明らかにした。 現行の耐震補強設計の基準では,目荒らしによる耐力の評価は認められていない。そのため,本提案モデルにより,目荒らしの固着性能を力学的に再現できたことは,工学的に極めて有用な知見であると判断される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論展開は順調に進んでおり,あと施工アンカーのダウエルモデル,さらに目荒らしの固着抵抗を考慮した力学モデルを取りまとめ,3編の査読付き論文に投稿し,2編は掲載,1編は採用決定の通知を受けている。特に,平成24年度のコンクリート工学年次講演会では「年次論文奨励賞」を受賞しており,学術的に高く評価されていると考えられる。 実験の実施については,加力装置の構築に当初予定より時間を要したためにやや遅れ,本実験の実施は平成25年度に持ちこす予定である。ただし,これまでに複数の予備実験を実施しており,本実験に着手する際も,大きな問題なくスムーズに取り掛ることが出来ると考えている。 以上により,当初予定よりも遅れている項目もあるが,接合部材の形状を確定したこと,および理論展開においては,当初予定もしくはそれ以上に進展している側面もあり,全体的には概ね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度である平成25年度は,主に以下の課題に取り組む。 ①複合応力実験を行い,開発した接合部材が引張力とせん断力を同時に受ける場合の力学性能を明らかにする。 ②開発したダウエルモデルを改良し,本接合要素の支圧応力場,ならびにせん断耐力,せん断剛性を評価できるようにする。 ③平成24年度までに展開してきた理論モデルの,更なる正当性,工学的妥当性,および適用範囲を確認すべく,複合応力実験の結果を用いて検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に使用する研究費の内訳は,以下の通りである。 加力装置に要する加力冶具や組立費用に500千円を要する。試験体の製作費用に500千円を要する。加えて,載荷実験補助の謝金として500千円を要する。 さらに論文投稿費用として,コンクリート工学年次論文集に20千円,その他論文集(日本建築学会構造系論文集など)に80千円を要する。 なお複合応力実験では自動制御載荷を行うが,この制御プログラムの高度化に伴い,研究代表者が保有するパソコンでは,加力中,正常に制御プログラムが作動しないことが危惧される。この場合には,試験パラメータ数を最小限に絞るなどして,必要な性能を持つ制御用パソコン(150千円)の購入に費用を計上する可能性がある。
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Research Products
(5 results)