2012 Fiscal Year Annual Research Report
電気回路接続した圧電性高分子を用いたコントロール可能な吸音材料に関する研究
Project/Area Number |
23760545
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤坂 修一 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (00501066)
|
Keywords | 圧電性高分子 / 電気回路 / 粘弾性 / 吸音率 / 板振動型吸音材料 / インダクタンス / tanδ |
Research Abstract |
過去の研究において、圧電性高分子に電気回路を接続し、インピーダンスを変化させると材料の粘弾性が変化することが分かっている。本研究は、このシステムを用いて、電気回路パラメータにより、吸音周波数をコントロールできる吸音材料の創製を目指すものである。 圧電性高分子の等価回路は、圧電性に由来する電源成分と誘電率、誘電損に由来するキャパシタンス、抵抗成分から構成される。機械的エネルギーが印加された際、圧電性により生じた電気的エネルギーは抵抗成分により熱エネルギーとして散逸されるが、キャパシタンスがあるため位相差を生じ、抵抗成分でのエネルギーロスは減少する。そこで、外部電気回路としてインダクタンスを接続することで、(電気的)共振周波数において、キャパシタンスをキャンセルさせ、エネルギーロスを向上させることができる。 本研究で作製した電気回路を用いて、電気回路接続による粘弾性変化を確認した。貯蔵弾性率は、共振周波数の前後で減少、増加した。また、損失弾性率、tanδは、共振周波数において電気回路未接続に対して約6倍まで増加することを確認した。 本材料は、板振動型吸音材料に分類され、申請者の過去の研究から、板振動型吸音材料のエネルギーロス量は、振動振幅と損失弾性率に依存することが分かっている。そこで、振動振幅の小さい周波数と大きい周波数に電気的共振周波数を合わせて測定を行った。吸音率は、振動振幅の小さい周波数では、共振周波数で増加し、大きい周波数では、共振周波数前後で増加、減少した。これらは、前者は損失弾性率の増加、後者は貯蔵弾性率の変化による振動振幅の変化が支配的であったためと考えられる。 以上より、圧電性高分子に電気回路を接続することで任意の周波数で吸音できる材料を創製できる可能性を示した。
|
Research Products
(5 results)