2011 Fiscal Year Research-status Report
既成市街地における街区エネルギーコミュニティの構築可能性
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23760546
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
吉田 聡 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (80323939)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 建物間エネルギー融通 / 非常時電源確保 / 省エネルギー |
Research Abstract |
スマートエネルギーに関する国内外の技術動向・社会動向に関して文献調査、実地調査を行い、「街区エネルギーコミュニティ」の役割として、「街区の省エネルギーと低炭素化および災害時の機能維持のための電源確保を関係主体間連携の中で実現すること」と定義した。また、横浜市、東京都区部を対象に都市計画基礎調査の建物現況調査データをもとに、地理情報システムを用いてエネルギー需要密度が高く、かつ地域冷暖房地域外の地域の抽出を行い、延べ床面積3000m^2以上の建物の抽出、リスト化を行った。当初予定していた熱源システムの現状調査に関しては、空気調和衛生工学会の竣工設備データを用いて集計分析を行い、延べ床面積規模による集中熱源方式の割合を明らかにした。さらに、これまでにすでに開発していた「建物間エネルギー融通簡易評価シミュレーションモデル」を改良し、非常時の電源確保の観点も加味して熱融通だけでなく電力融通についても評価できるようにした。この「建物間エネルギー融通簡易評価シミュレーションモデル」と、延べ床面積規模による集中熱源方式の割合から、横浜市、東京都区部における建物間エネルギー融通導入効果を概略推計した。その結果、東京都全域の延べ床面積比率でみた導入ポテンシャルは15.6%、熱需要量比率でみた導入ポテンシャルは25.7%であり、横浜市の場合はそれぞれ10.3%、8.6%であった。また、東京都全域における建物間エネルギー融通導入による省エネルギー量は25,777TJ/年、省CO2量は120.8万t-CO2/年のポテンシャルがあることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年度は、夏季に電力使用制限令のもとでの建物における対応、地域熱供給事業における対応などの調査を重点的に行ったことから、熱源システムに関する現況調査に関して既存文献(空気調和衛星工学会「竣工設備データ」)を用いた集計分析で終わってしまい、建物用途や規模の違いによる標準熱源システムの設定にまで至らなかった。しかし、電力使用制限令下での対応調査から、「非常にの電源確保」という新たな観点を追加し、既存の簡易シミュレーションモデルを改良することを行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
空気調和衛生工学会の竣工設備データを集計分析することで、建物用途、建物規模、竣工年による標準熱源システムを整理したうえで、標準システム2棟間における建物間エネルギー融通システムのエネルギー評価シミュレーションモデルを開発する。その際、これまでに開発した「建物間エネルギー融通簡易評価シミュレーションモデル」を土台に、標準熱源システム更新およびCGS導入の際の2建物間エネルギー融通についてエネルギー評価ができるようなモデルとする。 次に、開発したエネルギー評価シミュレーションモデルを用いて、様々な建物用途、建物規模、竣工年の建物2棟の組合せについて、エネルギー評価を行い、建物間エネルギー融通効果の大きい建物用途・規模を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
空気調和衛生工学会の竣工設備データの集計分析作業に学生研究補助者を充てる費用、初年度の研究成果を日本建築学会大会学術講演会(9月12日~14日、名古屋大学)において発表するための旅費・宿泊費を主に予定している。
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Research Products
(4 results)