2013 Fiscal Year Research-status Report
人間行動に基づく都市圏民生・旅客交通エネルギーモデルの開発
Project/Area Number |
23760550
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 容平 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40448098)
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Keywords | 生活行動 / エネルギー / モデル開発 / 民生部門 / 交通行動 |
Research Abstract |
本研究は、近畿圏における都市エネルギー(都市居住・都市活動に起因するエネルギー消費,民生家庭・業務部門、旅客交通部門)を対象とし、部門間の整合性が取れたエネルギーモデルを開発することを目的とする。今年度は家庭部門、業務部門を対象として、人の行動とエネルギー需要の関係を考慮するエネルギー需要モデルを開発した。 家庭部門では、エネルギー需要決定要因を①住宅居住者の生活行動、②行動に伴う住宅機器・設備の操作、③機器・設備仕様、④機器・設備所有状況、⑤住宅仕様、⑥気象条件等外界条件に分解し、個々の機器・設備のエネルギー消費の積み上げとして計算対象全体のエネルギー需要を定量化するモデルを開発した。特に①については総務省統計社会生活基本調査で収集されている生活時間データを分析し、生活時間の特性によってモデル化対象の人員を分類した。その上で、毎日定型的に実施するルーチン行為と非ルーチン行為それぞれの特性を表す統計データを分類別に整理した。このほか、住宅内の行動をモデル化する方法を開発した。 業務部門では、近畿圏内の業務施設のうち、事務所、商業施設、宿泊施設、医療施設を対象として、①規模・業態によるストックの分類、②分類別に業態の特徴を反映した施設モデルの開発、③シミュレーションによる各業態分類のエネルギー需要の推計、④③で推計されたエネルギー需要を業態全体に適用したエネルギー需要の近畿圏全体での積み上げという4つの過程で構成されるモデルの開発を終了した。加えて、事務所ビルを対象としてエネルギー需要の直接的な決定要因を整理し、エネルギー需要を施設利用者の在館状況にかかわらず発生する需要、在館・在室の有無によって発生する需要、特定の行為に伴って発生する需要に分類した。これにより施設利用者の行動とエネルギー需要の関係性を考慮して一人当たりのエネルギー需要をより正確に推計することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年東日本大震災発生以降、節電、エネルギー政策等に関する多様な動きがあり、本研究が開発するエネルギー需要推計モデルに求められる機能として、時系列のエネルギー需要推計機能を強化する必要が生じた。特に、家庭部門、業務部門を対象とするモデルにおいて推計に必要なデータベースの仕様を変更し、データ収集を行う必要性が生じた。この変更を実施するためにはさらに時間が必要であると判断されることから、1年間の研究期間延長申請を行なった。 平成25年度は民生家庭部門、業務部門を対象としてエネルギー需要を推計するモデルの基本形の開発が概ね終了することができ、残り1年間の研究期間の中で、研究計画提案当初計画していた内容をすべて遂行することが可能な水準まで達成度を回復することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
①都市圏人間行動モデルの開発、②都市圏人間行動モデルに基づくエネルギー需要の推計、③モデルを用いた評価の3項目を実施する。①では、社会生活基本調査で行われている生活時間調査の個票データと、京阪神都市圏パーソントリップデータに基づいて、都市圏交通流動、建築・住宅内の滞留が整合したモデルを開発する。個々のモデルは開発済みであるため、モデル間の整合性を確保する。②、③では次の項目を検討する。 A)一人当たりのエネルギー消費量およびCO2排出量を推計し、地域間比較を行う。 B)都市圏の人口および建築ストック(住宅・業務ビル)に関する動態を考慮してエネルギー消費量、CO2排出量を将来推計する。 C)エネルギー消費機器の効率向上、省エネルギー手法の普及、技術代替、建築ストックのマネジメント、ライフスタイル・行動様式の変更などによるエネルギー消費、CO2排出量の変化を推計するとともに、それらを統合した低炭素社会構築シナリオを開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2011年東日本大震災発生以降、節電、エネルギー政策等に関する多様な動きがあり、本研究が開発するエネルギー需要推計モデルに求められる機能として、時系列のエネルギー需要推計機能を強化する必要が生じた。特に、家庭部門、業務部門を対象とするモデルにおいて推計に必要なデータベースの仕様を変更し、データ収集を行う必要性が生じた。この変更を実施するためにはさらに時間が必要であると判断されたことから、1年間の期間延長を申請するに至った。 使用用途は次の通りである。 【物品費】 電子データ保存用ハードディスク等計算資源 40,000, 論文・書籍・データ 40,000【旅費】 資料収集旅費(東京3回) 150,000【人件費・謝金】データ整理謝金(内訳:1人950円/時×104時間)【その他】 研究成果発表のための論文投稿・掲載料 二式150,000
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Research Products
(7 results)