2012 Fiscal Year Research-status Report
緑化建築物の省エネ効果を最大化するための熱・水収支的な熱負荷軽減量評価技術の開発
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23760552
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
高山 成 大阪工業大学, 工学部, 講師 (40403373)
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Keywords | 壁面緑化 / 蔓性植物 / 植物体の水消費量 / 植物体水収支 |
Research Abstract |
近年緑化用の蔓性植物として一般に急速に普及しているノアサガオを供試植物として,壁面緑化による水消費量の算定を行った。都市域にあるRC造りの建築物の南側壁面を実験対象として,6階から7階部分に登攀型の壁面緑化「緑のカーテン」を設置して,植栽用のプランタを含めた植物体の水収支を調べた。さらに気象・生育に関する条件,植物生長量などの環境要因を考慮して,壁面緑化植物による水消費量を推定する手法を提案した。 2011年8月19日から10月2日までの期間,ノアサガオを植栽面の面積に対して平均で約11倍の葉面積を繁茂させた。この壁面緑化物が同期間に消費した水量は,おおよそ1.8m3程度であったと推定され,水消費量の日平均値は18.4mmday-1であった。気象条件のみに支配される参照蒸発散量に対する水消費量の比を水消費量率とした時,同期間における水消費量の最大値は15程度であった。水消費量率の最大値15に対する日々の水消費量率を標準水消費量率として,日平均風速,日平均土壌体積含水率,日積算壁面日射量,対地葉面積指数の環境因子を説明変数とする推定モデルを構築した。日々の水消費量の実測値に対する,モデルの推定値の絶対平均誤差はMAE=0.061となり,推定による誤差は6.1%程度と良好な結果が得られた。 今回の実験から貯水型プランタを用いた植物体の水収支を検討することにより,壁面緑化物の水消費量を定量的に評価できることが明らかとなった。最近では都市の緑空間デザインの観点から,壁面緑化用として様々な植物種が使われ始めており,こうした植物種が必要とする要求水量を定量化することは重要である。今後,様々な植物種の水消費量を環境因子から算定可能な,より再現性の高い頑健なモデル構築を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、当該研究資金による研究成果を論文「Quantitative Assessment of the Water Consumption of Plants by South Wall Greening Curtain by Ivy Morning Glories in Summer」として、学術誌Journal of Agricultural Meteorologyに投稿中である。その他、学会、国際シンポジウムにて成果を発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定通り、これまでの実験結果を最終年度に纏めていく方針である。また、研究代表者は人体熱収支モデルに基づいた直感的に理解が容易な、「暑熱ストレス指数」を都市域における暑熱負荷の指標として提案しているが、今年度は新たに大阪市街地を対象地域として、移動気象観測より得られた街区の詳細な気象要素を人体熱収支モデルに適用して、「暑熱ストレス指数」の分布を得る予定である。さらに被験者の発汗量調査結果と暑熱ストレス指標による評価結果を比較し、都市域の熱ストレスのより定量的かつ的確な評価方法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在投稿中の論文の論文投稿料および別刷り複写費、研究成果の学会発表旅費を当初計画通りに執行する予定である。ただし、人件費・謝金の\144,000については、暑熱ストレスの実験用にセンサ類などの消耗品費に振り替える予定である。
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