2012 Fiscal Year Research-status Report
流れの構造解析に基づく街区空間の換気通風設計に関する基礎的検討
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23760554
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
白澤 多一 大妻女子大学, 社会情報学部, 助教 (40423420)
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Keywords | CFD / 街区空間 / 風通し |
Research Abstract |
近年、ヒートアイランド対策の一つとして市街地の風通しの確保の重要性が広く認識されている。都市の風通しを悪化させることなく、熱や汚染物質の拡散を促進させることができる都市空間の実現のためには、街区を特徴付けるパラメータと風通しの関係について検討し、整理していく必要がある。 本研究では、数値流体力学を用い、街区の歩行者レベルの通風・換気に大きな影響を及ぼし、街区を特徴付けるパラメータと考えられる屋根形状、建物間隔などと流れの構造との関係を分析し、都市・屋外空間の通風換気設計のための基礎的な資料を提供することを目的としている。 今年度は昨年度実施した街区のLarge Eddy Simulation の結果の分析を引き続き行うとともに、加熱された地表面や建物表面によって温度差が生じた街区空間の汚染物質拡散の数値流体解析を行った。この数値流体解析はLarge Eddy Simulationと比較的計算負荷の小さいRANSモデルにより行った。まずLarge Eddy Simulationによる街区空間の解析を行うために、流入境界条件となる風速変動と温度変動の作成に取り組み、作成した変動風の性状は実験値とよく対応していることを確認した。次に作成した変動風を流入境界条件として、不安定乱流境界層下の街区のLarge Eddy Simulationを実施し、その精度を風洞実験結果、RANSモデルの解析結果との比較より確認し、乱流統計量を取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、①昨年度得られた街区のLarge Eddy Simulation の結果を図化し、分析を行うこと、②加熱された地表面や建物表面によって温度差が生じた街区空間の数値流体解析を実施し、乱流統計量を取得し、流れの性状を分析することを計画していた。 ①については、昨年度得られたLarge Eddy Simulation の結果の図化、分析を行い、解析プログラムの改善点も明らかにすることが出来た。 ②については、加熱された地表面や建物表面によって温度差が生じた街区空間のLarge Eddy Simulation による数値流体解析を実施するために必要な流入境界条件の作成、そして街区空間の解析を行い、十分とはいえないが、乱流統計量を取得することができた。 以上より、現在までの達成度としては、おおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基づき、3年間の研究の最終年度にあたる平成25年度は、 ・汚染物質の拡散に関する数値解析を実施するにあたり、解析結果の精度を確認するために、風洞実験結果や測定結果が公表されている解析対象を選定する。 ・選定した対象の解析を行い、解析結果の精度確認を行いながら乱流統計量を取得し、風上側の街区が風下側の街区に及ぼす影響について分析する。 以上の2点を中心に研究を進めることを計画している。 Large Eddy Simulationを行うためには、まず流入境界条件の作成、そして十分な統計量を所得するための長い計算時間が必要になるため、対象によっては比較的計算負荷の小さい乱流モデルを用いた解析も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、当初の計画通り、情報収集等のための学会参加費、解析データのバックアップに必要なメディアなどの計算機消耗品を中心に、研究補助、翻訳・校閲の人件費・謝金、印刷費等のその他の経費として使用する計画である。
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Research Products
(2 results)