2012 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎に代表される幼児の皮膚疾患の実態把握とその予防対策
Project/Area Number |
23760559
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Research Institution | Gifu National College of Technology |
Principal Investigator |
青木 哲 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80321438)
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Keywords | 幼児 / 保育所 / アレルギー / アトピー / 温湿度 / 暴露 / 皮膚 / 未就学児 |
Research Abstract |
本研究は、アトピー性皮膚炎などの幼児の皮膚疾患にターゲットを絞り、その発症予防を目的に、まずアンケート調査により皮膚症状の実態と環境因子との関連を把握し、住宅・保育施設・外気での暴露環境を検討し、相互関連を検討した。 調査対象地域は岐阜西濃地区を中心とし、まず幼児の保護者に冬季の皮膚症状に関するアンケート調査を行った。その結果、岐阜西濃地区で67.7%、東海4 県では69.3%の幼児に何らかの皮膚症状がみられ、「皮膚が乾燥しやすい」が最も多かった。しかし、県や人口密度、住宅構造による相違は小さかった。解析を行った結果、皮膚症状に影響を与えている因子として、暖房器具の種類や使用の有無、加湿器の使用有無、カビの発生の有無が挙げられたが、有意差のみられた項目は少なかった。 幼児の居住する住宅の冬季温湿度調査は対象住戸が3戸に留まったものの、その結果からは低湿度傾向はみられず、ダニアレルゲン・真菌類の発生も多い傾向はみられなかった。 保育所の冬季温湿度実測調査は、まず5保育所の保育室で行った。うち2保育所の保育室で低湿度傾向がみられた。幼児の暴露されている温湿度環境は、時間的な変動が大きいものの、平均的には在室時間の長い保育室の温湿度に大きく左右されていた。以上のことから、アトピー性皮膚炎の発症要因に一つである皮膚乾燥は、保育環境の影響が大きいと推察された。 そこで、2年目には低湿度傾向のみられた2保育所の全保育室を対象とし湿度確保を目的に①加湿器使用、②加湿器使用及び換気抑制、③換気抑制のみ、④普段通りの4 パターンの環境調整方法を1 週間ごとに実施してもらい、温湿度測定を行った。その結果、保育室の乾燥予防対策としては、加湿器の使用が保育士への負担を加味した上でも有効であった。ただし、保育士の間に乾燥の原因となる換気励行の傾向がみられたことは注視すべき点である。
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Research Products
(6 results)