2011 Fiscal Year Research-status Report
縮減社会における地域環境の保全・再生に向けた地域マネジメントに関する研究
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23760562
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
三宅 諭 岩手大学, 農学部, 准教授 (60308260)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 都市・地域計画 / 地域マネージャー / 地域環境保全 / 地域再生 |
Research Abstract |
本研究は縮減社会の本格的到来による影響を最も強く受ける地方都市および農山村を対象とし、地域環境を保全・再生していくための対策を地域マネジメントに求め、有用な地域マネジメントの方策(仕組み)を明らかにすることを目的としている。平成23年度は各地で取り組まれている地域環境に関わるマネージャー制度を整理すること、海外事例の情報収集を目的としている。初めに、各自治体が定めている地域マネージャーをレビューしたところ、鳥取県では県の取り組みとして地域マネージャー制度が平成21年度から3年間のモデル事業として取り組まれており、住民主体の地域づくりに展開していることが判明した。また、長崎県対馬では行政区の担当職員を地域と行政の掛け橋となる地域マネージャーとし、地域活性化の取り組みや計画策定に取り組んでいること、三重件四日市市、岩手県釜石市などにも地域マネージャーの制度があることが確認された。主な地域マネージャーの位置づけや役割を整理したところ、地域づくりを支援するNPOの主要スタッフをマネージャーとする場合や、行政職員を位置づける場合、教育関係の視点から保護者の代表を位置づける場合など、様々な事例を確認できた。なお、平成23年度に予定していた海外調査については、フランスの事例について情報収集を行ったものの、あまり適切な事例でないと判断し、調査を延期した。平成24年度は、さらに幅広く地域環境に関わるマネージャー制度を整理し、その活動内容、位置づけ、役割等の仕組みを類型化する。また、自然再生に取り組んでいる八幡平市や真庭市等の現地調査、海外事例の情報収集と調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
東日本大震災の復興計画策定への取り組みが始まった夏以降、岩手県の都市・地域計画の専門家として、複数の地域で復興に関わることが増え、研究環境に大きな変化が生じた。具体的には、頻繁に沿岸被災地へ調査・打合せに出かけなければならなかったことから、十分な現地調査の時間を確保することが困難であった。また、対象事例として想定していた岩泉町と釜石市も震災復興で手一杯だったため、研究への協力依頼をすることは極めて難しい状況にあった。そのため、現地調査を不要とする、情報収集および資料調査、整理を基本として取り組んだものの、非常に遅れた状況になっている。また、国内現地調査が困難であることから、効果的な調査研究とするために、海外事例については翌年度に取り組むこととして、特に着手しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に行ったレビューをもとに、選定した事例の中心人物へおよび行政、関連するNPOや企業等にヒアリング調査を行い、ヒト(協働体制、主体内体制、人的交流)、カネ(活動費、運営費等の収支の仕組み)、コト(事業内容、取り組み)、シクミ(支援制度)の視点から整理し、地域マネジメントの枠組を設定する。また、EU圏内で見られる、広範囲の交流による地域環境保全の事例を収集、整理する。具体的には、これまでに交流のある研究者の情報を元に、資料収集を行う。さらに、地域環境の保全・再生活動の事例として、産業跡地の植生回復による環境保全に取り組んでいる八幡平市や、都市住民との交流により景観保全に取り組んでいる真庭市への現地調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
東日本大震災からの復興計画策定に関わっていたため、国内外の現地調査の時間を確保することが困難であった。そのため、調査時期を遅らせて対応することとした。具体的には平成23年度に行う予定だった国内の地域マネージャーに関する事例調査、海外の地域環境保全の事例について資料収集および現地調査を平成24年度に行うこととし、調査旅費および資料整理の謝金を繰り越すこととした。
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