2012 Fiscal Year Research-status Report
縮減社会における地域環境の保全・再生に向けた地域マネジメントに関する研究
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23760562
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
三宅 諭 岩手大学, 農学部, 准教授 (60308260)
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Keywords | 縮減社会 / 地域環境保全 / 地域再生 / 地域マネジメント |
Research Abstract |
国内の地域マネジメントの事例について、まちづくりマネージャーなど各自治体が定めている地域環境に関わる主体を類型化して代表事例を抽出するために、各自治体のWebを検索して地域マネージャーに関する取り組みをリストアップし、概要、主体、活動内容、特徴を整理した。 一方、農山村地域や歴史文化資源を活かした地域環境保全に取り組んでいる事例としてオランダのNatuurmonumentenがボランティアを活用した特徴的な取り組みを行っていることから、Natuurmonumentenへヒアリングおよび現地調査を行った。 NMは自然保護と国の文化財等の保全のために1905年に設立され、設立以来、会員やボランティア、政府からの補助や自主事業によってこれらの活動を担ってきた。当初は会費や寄付だけで活動していたが、自然保護活動の重要性が認められ、政府からの補助を受けるようになった。現在では355ヶ所の自然地と470の文化財の保護、合わせて104,000haの保全・活用に取り組んでいる。 運営体制は理事会と評議会で構成され、理事会は経済や自然保護、コミュニケーション等の専門家を中心に9人で構成され、NMの政策方針を決定する場である。一方、評議会は80人で構成され、メンバーは各州から5人程度ずつ選出されている。また、現場での作業はプロジェクトリーダーとボランティアに任されており、プロジェクトの方針をボランティアに伝えることを大切している。ボランティアの仕事内容をみるとメンテナンスやプロポーション、エクスカーション、記録、事務、パトロールと多様であるが、メンテナンスが特に多いことがわかった。 以上、国内事例の抽出とNMの仕組みを明らかにすることができた。引き続き国内事例の類型化と全く違う体制のNatuurpunt(ベルギー)について研究を継続する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の復興計画策定に地元の都市・地域計画の専門家として関わらざるを得なかったたため、平成23年度は大幅に遅れることとなった。その分、遅れているが、国内事例の分析と同時に海外事例についても詳細な調査を行うことができ、さらに現地でのヒアリング調査を通じて対照的な事例も抽出することができた。したがって、平成24年度だけではみれば当初の計画以上に進めることができたといえる。平成25年度は分担者となっている研究のエフォートを減らすことにしており、研究目的を達成する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、7月頃までは国内事例の類型化を進める予定である。 同時に平成24年度に協力を得た海外研究者と連絡・調整を図り、9月頃にオランダとベルギーの事例調査を行う予定である。平成25年2月に行った調査時に、9月頃の予定を確認して、調査意向を伝えてあるため、スケジュール調整さえ問題なく進めば、円滑に調査をすることが可能となると見込んでいる。なお、調査項目としては、NMの活動参加者の特徴、活動に対する意識、期待、負担等を予定している。ベルギーではNPに対してNMとの比較なるようにこれまで調査した項目についてヒアリング調査および資料集集を行う。 秋以降には国内の代表事例へのヒアリング調査を行い、海外事例との比較分析を行う。 上記成果を受けて、地域マネジメントの仕組みを考察し、成果としてまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外調査を2回行ったことと、ほぼ毎日ヒアリング調査を行ったため、旅費と謝金が多くなった。一方、物品費はデータ入力アルバイト用のPC等を購入しなかったため余裕が生まれた。次年度は最終年度であり、国内外の事例に対するヒアリング調査を効率的に行いたいので、繰越した分を当初予定していなかった旅費と通訳謝金に充て、データ入力謝金や物品費を抑えることで研究目的の達成を目指したい。
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