2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23760567
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
雨宮 護 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教 (60601383)
|
Keywords | 犯罪 / GIS / 地理的分布 / ESDA / 変化 / 防犯 / 住宅対象侵入窃盗犯 / 東京 |
Research Abstract |
本年閣議決定された新たな地理情報活用推進基本計画は,目指すところのひとつに,「犯罪情報分析におけるGISの活用」を位置づけた.また,同時期,警察庁は,犯罪情勢分析に基づく計画策定を全国警察に通達した.しかし,GISを用いた犯罪分析に対するこうした高い期待とは裏腹に,既存の犯罪関連地理情報は極めて限定的である.本研究では,こうした問題意識を背景に,東京23区において,時系列・小地域・罪種別の犯罪データベース構築を行い,その分析を行うものである. 本年は,東京23区において,2001年~2011年の間に発生した住宅対象侵入窃盗犯を事例に,ESDAの手法を用いて,地理的分布の変化を検討した.分析の結果,以下の5点が明らかとなった.①最近11年間における東京23区の住宅対象侵入窃盗犯の犯罪率は,量的には減少,地理的には分散傾向がある.ただし,地理的分散傾向は一貫しておらず,年次変動がある.②住宅対象侵入窃盗犯のマクロな集積性は,11年間において常に有意であり,どの年次においても集積が確認される.③住宅対象侵入窃盗犯の集中地区(犯罪のホットスポット)は,年次間において大きく移動している.しかし,その移動には,一定の規則性がある.④犯罪のホットスポットと解釈される「HH地区」は,一度該当すると,翌年も固定化される可能性が,ランダムよりも有意に高い.⑤全地区内で,いくつかの地区は安定した犯罪傾向を示しており,HH地区,LL地区として比較的固定化されている地区も存在する.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,犯罪の小地域時系列地理データ整備を進め,分析に着手することができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
犯罪の地理的分布の変化と,背景要因との関連を分析する.特に都市の社会的・物理的環境の変化が犯罪の地理的分布にいかなる影響を与えたのかを明らかにする.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新規年次データの入力費用,分析用ソフトウェアの購入,研究の成果発表等に使用する.
|
Research Products
(5 results)