2012 Fiscal Year Research-status Report
「働きたくなるオフィス」実現のための知識創造活動に寄与する空間感性価値の研究
Project/Area Number |
23760574
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 裕司 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (60379071)
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Keywords | オフィス / ワークプレイス / 建築設計 / 感性 / 知識創造活動 |
Research Abstract |
2年目である本年度は、下記の研究を行った。 1)オフィスにおける経営的な価値指標として「働きたい」と感じること(ワーカーのやる気やリクルーティングに寄与)、感性的な価値指標として「特別感(プレミア感)」を取り上げ、その関係を探る研究を行った。まず、言語評価として、写真面接調査法の一つである評価グリッド法を用いて、働きたいオフィスと特別感を感じるオフィスそれぞれの評価構造を把握した上で、その共通点を探った。例えば、「オフィスらしくなさ」が特別感に、「場所の選択性」が働きたいに繋がり、「遊び心」が両者を結ぶキーファクタになる可能性を明らかにした。さらに、非言語評価としてモニタ上の写真をもとにした自由発話とアイマークレコーダを用いた注視点分析を行った結果、「働きたい」と「特別感」ともにインテリア、家具との関係が深い可能性を明らかにした。 2)新たなワークプレイスとして注目されつつあるコワーキングスペース(個人事業者やフリーランサー等が集まって働く場)を対象として、54の国内事例の調査を行い、その類型化を行った。さらに、インタビュー調査結果をテキストマイニング手法により分析し、求められる機能的・空間的な要件を明らかにした。これより、「リラックスした自由なコミュニケーション」、「興味ある内容のイベント開催」、「見通しと、周りの人の状況や個性が見えやすさ」の重要性を確認した。 3)大部屋型の執務空間における集中スペースの設えが、囲われ感、集中度合い、気持ちの切り替えに及ぼす影響を見る実験を行った。具体的には、床の高低差とキャノピーによる頭上囲い、背面、側面、正面のレイアウトの計10パタンを用意して使用者へのアンケート調査により、基礎的な影響を明らかにした。 4)その他、企業内の非公式ネットワークの現状と形成過程、醸成過程を探るためのアンケート調査及びインタビュー調査を実施し基礎的な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の成果をうけて、アンケート調査、インタビュー調査、写真面接調査、非言語調査(アイマークレコード)、実地観察調査、実験室実験を実施し、多面的な視点から分析を深めることができた。その中で、本研究の主題である「空間の感性的な価値と、企業の経営価値やワーカーの心理面との関係」に関する具体的な知見を得ている。同時に来年度に向けての仮説をいくつかを導出している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に得られた知見及び、調査や実験に関するノウハウに基づいて、主題に対してより具体的な仮説に基づいた研究を行う。実験や分析に関しては、できるだけ数量的な分析手法を利用/開発/適用したいと考えている。また、今年度の調査・実験において不足点、課題点が得られているので改善して今後の研究に役立てる必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度と同様、調査や実験に関わる支出(物品、出張、謝金)を主とするが、研究を円滑かつ効果的に進めるための観察支援装置や分析システムの開発にも積極的に使用する予定である。なお、24年度に予定していた実地聞き取り調査が先方の都合により実施できなかったので、一部予算を繰り越した。25年度に実施する予定である。
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Research Products
(6 results)