2011 Fiscal Year Research-status Report
線引き制度運用からみた地方都市のコンパクト性評価モデルの開発に関する研究
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23760576
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小林 剛士 山口大学, 理工学研究科, 助教 (40553160)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 都市計画 / 土地利用 / 線引き制度 / 環境負荷 |
Research Abstract |
線引き制度運用の効果を二酸化炭素排出量の増減により評価する「線引き制度運用による都市コンパクト性の評価モデル」の開発を目指し、平成23年度は対象都市圏のデータ整備を行った。まず、人口移動に関しては、平成17年度山口県都市圏総合都市交通体系調査を基に、新築建物の立地動向に関しては、平成18年度都市計画基礎調査を基に、統計区別にデータを整理した。次に、対象都市圏の公共交通拠点である鉄道駅、バス停、都市施設(小学校、郵便局、都市計画公園、美術館・博物館、開発、インターチェンジ、総合病院、大規模店舗、福祉施設、幹線道路)の立地位置について整理した。以上のデータを、地理情報システムにより100mメッシュデータとして整理した。各メッシュ内人口の移動状況より、交通に伴い発生する二酸化炭素量、新築建物の立地状況より、建築に伴い発生する1年あたりのLCCO2量を算出した。また、公共交通拠点施設、都市施設の立地状況より、各メッシュの中心から都市施設まで距離を計算した。各都市施設までの距離、土地利用の状況(用途地域、用途白地地域、市街化調整区域、都市計画区域外)、人口等を説明変数、交通により排出される二酸化炭素量、建築により排出される一年あたりのLCCO2量をそれぞれ外的基準とした場合の数量化I類分析を行い、線引き都市、非線引き都市における交通、建築によって排出される二酸化炭素量に影響を与える要因を明らかにした。以上の結果を、日本建築学会大会(関東)オーガナイズドセッションにおいて発表した。なお、中心市街地を対象として、二酸化炭素排出量を低減しうる施策を実施した場合の効果を評価し、その結果を中国で開催された国際会議AURG2012において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に実施予定であった、人口、建築、土地利用関連データのメッシュデータ化は既に実現されている。また、メッシュデータを用いた数量化I類分析により、交通、建築に伴い排出される二酸化炭素量に影響を与える要因も既に明らかになっている。一方で、平成2年の人口、交通、土地利用データは未整備の状況である。以上より、現在までの研究の達成度は、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
数量化I類分析の結果、平成17時点において交通に伴い発生する二酸化炭素量に影響を与える要因は、「用途地域」、「インターチェンジからの距離」、「鉄道駅からの距離」であり、建築に伴い発生する二酸化炭素量に影響を与える要因は、「人口」、「用途地域」、「総合病院までの距離」であることが明らかになった。今年度は、平成2年度の交通量調査、都市計画基礎調査結果より、GISデータを整理し、数量化I類分析を行い、平成17年度の結果との比較考察を行う。また、平成16年度に線引き制度を廃止した香川県新居浜市、西条市に構築したモデルを適用し、対象都市における排出状況との違いを考察することで、線引き制度を廃止した場合の影響を考察する。また、作成されたGISデータは、対象都市圏における将来都市構造に向けて専門家が計画策定を行う際、住民参加による協議の場において有益な情報になりうると考えられるため、GISによる作成データ編集機能とWEBによる情報提供機能を有したソフトウェア開発を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、当初研究計画に記載されていなかった関連研究について国際会議(天津・中国)で発表を行い、その分の旅費を支出しなかったため、未使用額が生じた。次年度は、全国の線引き制度を廃止した都市(新居浜市、西条市、高松市、荒尾市、海南市、笠岡市、都城市)の土地利用調査を行うことを計画している。またそれらの都市の人口、土地利用に関する100mメッシュデータを購入することを検討する。また、連携研究者の協力のもと、データ収集とその整理を行いたい。これら、作業への協力者に対する謝金として、それに相当する経費を支出する。研究成果は、日本建築学会大会、同学会支部大会、日本都市計画学会大会、国際会議(DDSS、ISAIA、ISHED、CUPUM等)において発表を行い、国内外に発信する。研究対象自治体に対しても研究成果の提供、発信を行う。情報提供を行う際には、インターネットを介しても情報発信できるよう、また、利用者が設定した将来市街地像に対して、評価結果を表示できるようなソフトウェア開発を行う。そのため、動作環境に適合したコンピュータ、GISソフトを新たに購入したい。ソフトウェア開発に際しては、プログラミングに関する専門知識の提供及び作業への協力者に対する謝金も必要である。
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Research Products
(2 results)