2012 Fiscal Year Annual Research Report
線引き制度運用からみた地方都市のコンパクト性評価モデルの開発に関する研究
Project/Area Number |
23760576
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小林 剛士 山口大学, 理工学研究科, 助教 (40553160)
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Keywords | 都市計画 / 土地利用 / 線引き制度 / 環境負荷 |
Research Abstract |
近年、多くの地方自治体で目標として掲げている「環境にやさしいコンパクトで持続可能都市」の実現に対しては、線引き制度の継続の是非について合わせて議論される必要がある。本研究課題は、線引き制度の運用が、コンパクトな都市形成に与える影響について、環境負荷、特に二酸化炭素排出量分布を指標として明らかにすることを第一の目的としている。今年度は、前年度に整備したデータに加え、平成2年度の対象地域の100mメッシュデータを整備した。整備データを用いて、都市施設までの距離、土地利用の状況(地域地区指定状況)、人口密度分布等が、交通及び建設分野の二酸化炭素排出量にそれぞれどのような影響を与えているかを統計解析的手法により明らかにした。その結果、平成17年、平成2年ともに交通、建築分野の二酸化炭素に影響を与えている要因に大きな変化は見られなかった。交通分野の排出量に影響を与えている要因は、線引き都市、非線引き都市ともに「商業地域」、「インターチェンジから1㎞程度離れた地区」、「鉄道駅に近い地区」であり、大きな差異は見られなかった。一方、建築分野の排出量に影響を与えている要因は、線引き都市、非線引き都市ともに「人口が大きい地区」という点で共通していたものの、「用途地域」、「総合病院からの距離」に対する影響に違いが見られた。得られた結果をもとに、線引き制度を導入した場合、廃止した場合それぞれの排出量を予測する「線引き制度運用による都市コンパクト性評価モデル」を開発し、分析した結果、線引き制度の廃止は、都市全体での交通、建築分野の排出量を増加させ、特に商業系用途地域、病院から近い地区での排出量を増加させる傾向があることが明らかになった。一方で線引き制度の導入は、都市全体の排出量を削減する代わりに、一部住居系用途地域、病院から遠い地区において大きく排出量を増加させる結果となった。
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