2012 Fiscal Year Annual Research Report
過疎地に所在する文化遺産の防犯環境設計の視点による実態把握とその課題
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23760580
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Research Institution | Hakodate National College of Technology |
Principal Investigator |
永家 忠司 函館工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (00530205)
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Keywords | 都市形態 / 防犯環境設計 / 文化遺産 |
Research Abstract |
文化遺産は地域アイデンティティの核となるものであり、社会全体で継承していく必要がある。これら文化遺産の保全・保護への対応が求められる現在、文化遺産の防犯性を検証すべきとの問題意識から、周辺環境、コミュニティを含めた文化遺産の実態を明らかにし、それら文化遺産の実態に応じた防犯面の課題について検討、提示することを目的として研究を行った。 本研究では複数の都市を対象に、文化遺産が立地する場所に着目したGISデータベースを構築した後、スペースシンタックス理論を応用した道路ネットワークのアクセシビリティや可視空間の分析をもとに防犯環境設計における監視性と領域性の定量化を行った。さらに文化遺産が立地する場所の土地利用、建築物やその付帯物といった周辺環境を空間的特性として定量化することで文化遺産と都市空間特性の関係を明らかにし、特に佐賀県唐津市においては地域住民へアンケート調査を行うことで文化遺産に対する意識や関わり方などの実態を明らかにし体系化した。 よって本研究では周辺環境を含めた文化遺産における都市空間特性を捉えることで、文化遺産に対し地域コミュニティがどのようにかかわるべきかを考えるための基礎資料を部分的ながら提示した。文化遺産の所有者の高齢化や管理者の不在が顕在化する過疎地において、本研究は地域コミュニティが文化遺産をどのように守っていくべきかを示すための基礎的研究として位置づけられる。 今後の展開として今回の結果と併せ、文化遺産の保護政策とまちづくりに関する施策に関する体系的な位置づけをより明確にすることで、地域コミュニティのみならず行政や地域団体を含めたステークホルダーによる文化遺産保護を通じた持続的な地域コミュニティのためのリスクマネジメント体制のあり方について提案していく。
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Research Products
(2 results)