2012 Fiscal Year Research-status Report
合意形成構造に基づく住民参加の景観デザイン審査会の有効性
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23760584
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
熊澤 貴之 岡山県立大学, デザイン学部, 講師 (30364102)
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Keywords | アソシアシオン / 合意形成 / 保全 / 中間組織 / 住民参加 / まちづくり / まちづくり運動 / 協働 |
Research Abstract |
本研究は,都市景観保全における行政と住民の合意形成に向けた組織や活動の在り方を構築することを目論み,デザイン審査や組織間の協議時に,有効性が高い諸要因を導き出すことを目的としている. 本年度は景観デザインに強く影響を与えているアソシアシオンの活動に注目し,フランス都市計画における合意形成に向けたアソシアシオンの保全活動について研究を行った.具体的に取り上げた事例は,フランス国モントルイユ市Murs a PechesのPlan Local d'Urbanisme(PLU)の策定に大きな影響を与えてきたAssociation Mures a Peches(MAP)の活動である.そこで筆者はフランスのモントルイユ市Murs a Peches地区のアソシアシオンによる保全活動の評価を文書や関係者からのヒアリング内容の分析に基づいて考察し,行政とアソシアシオンの関係に基づく合意形成プロセスを明らかにした. その結果,次の4点が明らかになった.1)アソシアシオンと行政が協働する関係が構築されている時,合意形成に向けて平和的解決がとられる可能性が高いこと.2)アソシアシオンと行政が協働する関係が崩壊し,対局する関係である時,アソシアシオンのまちづくり運動は益々強まり,合意形成に向けて衝突的解決がとられる可能性が高いこと.3)アソシアシオンが専門的な技術支援を受け,具体案の構築ができる時,まちづくり運動は益々強まること.4)保全活動がアソシアシオンのメンバーの生きがいになっており,まちづくり運動の原動力になっていること. 我が国おいてはアソシアシオンのような中間組織の育成と衝突的解決に対応できる制度が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,調査を行い,結果及び知見を得ている.
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Strategy for Future Research Activity |
都市景観保全における行政と住民の合意形成に向けた組織や活動を構築するため,先端的な取組みを詳しく調査する予定である.調査には先端的な取り組みを行っている方々,住民,行政の考え方をヒアリング調査によって抽出して行く予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は景観施策に活用できる事例の現地調査及びヒアリングを国内外で行うために旅費を使用する.また,記録するための機材や関連資料を収集するために研究費を使用する.
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