2013 Fiscal Year Annual Research Report
地域社会の持続性を担保する公共財の制度と社会基盤の整備に関する研究
Project/Area Number |
23760589
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
白井 裕子 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (90350363)
|
Keywords | 地域社会 / 公共財 / 社会制度 |
Research Abstract |
海外ではフランス現地で調査を行った。公共財を取り扱う事は、社会インフラの整備でもあり、フランスでは、このオペレーションを民間企業が行っている場合がある。しかし営利を目的とする私企業が、公共財を扱う事で社会問題も発生しており、民間から公共主体に移管する事が各地で議論されていることが分かった。そこで社会制度を変更し、民間から公共への移行を実施する段階に入った地方自治体においても、そこで何が議論されているのか、知見を得る事ができた。 またフランスの特徴として、個人の所有物でも、同時に文化的、社会的価値を有すると見なされる財に対しては、公共の権限、関与が大変に大きく、国家レベルの介入もある。また制度を運用している担当官の実務内容から、その権限が個人の所有権の制限にまで及んでいる事が今回の調査でも明らかであった。その目的が将来に渡る国益である事も明示的であった。また国家による制御が、地方分権の流れに従い、国家より下位の行政組織に移行されている現況も把握できた。また文化的、歴史的価値を有する公共財は、過去のまま保存するだけでなく、現在的価値も得られるよう、柔軟に制度運用されている実態も本調査から得る事ができた。 国内においてはフィールド調査を行った。我が国では地域社会において、公共財としての役割を持つ生産財を、地域産業の慣習等により、持続的に維持してきた側面がある事が得られた。また地域の慣習等には各々特殊性があるため、現行の社会制度や事業を受け入れる事で、その仕組みの発展だけではなく継続・維持に、かえって支障が生じている事も分かった。
|