2011 Fiscal Year Research-status Report
分譲集合住宅における界壁・界床の個別改変とそのマネジメント手法に関する実態調査
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23760591
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
森田 芳朗 東京工芸大学, 工学部, 准教授 (50396769)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 分譲集合住宅 / 界壁・界床 / 空間マネジメント / 二戸一化 |
Research Abstract |
本研究では、集合住宅の住戸を隔てる壁・床を、それぞれ「界壁」「界床」と呼ぶ。そして、国内外の分譲集合住宅における、その改変の実態と課題を明らかにしようとするものである。 長期の人口減少に伴う空室率の増加が見込まれる日本において、既存の住宅ストックの広範な利用法が求められている。なかでも、集合住宅の界壁・界床の一部撤去による「二戸一化」は、柔軟な空間再編手法のひとつとして古くから着目されてきたが、合意形成の難しさなどから、実例は公的賃貸住宅や社宅におよそ限られているのが現状である。 そこで本研究では、この二戸一化が比較的頻繁に行われている諸外国の分譲集合住宅の実例、また希少ながら存在する日本の実例の事例調査を行う。技術的な側面のみならず、その実施を支える多様なマネジメントのあり方を抽出することで、持続可能な集合住宅の利用法についての知見を得る。 初年度である平成23年度は、(1)日本における分譲集合住宅の二戸一化事例の実態把握を行い、課題の整理を行った。また、(2)米国ニューヨーク市における二戸一化工事の実施状況を、統計調査により明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度予定した国内の分譲集合住宅の二戸一化事例の実態把握は、計画通りの成果が得られた。国内の事例調査を重点的に行うため、当初予定したアメリカ・カナダの現地調査は、初年度は見送ることとした。米国ニューヨーク市の充実した統計資料が得られたため、初年度はこの分析作業を重点的に進め、現地調査を補うだけの成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度行った実態把握により、国内で分譲集合住宅の二戸一化工事を阻害する要因の詳細が明らかになった。また、米国ニューヨーク市を例に行った統計分析では、諸外国における二戸一化工事の実施頻度が具体的に把握できた。当初予定したアメリカ・カナダの現地調査は翌年度以降実施することにしたため、残額が生じた。この残額は下記の次年度使用計画と合わせて執行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
日本と諸外国の間に見られる集合住宅マネジメント手法の多様性、またその相違を生み出す各種要因(建築関連法規、ベースビルの構造形式、関与する職能、瑕疵担保責任、建物の管理体制、住宅所有形態、不動産取引市場などの違い)を抽出・整理する。 その上で、諸外国における二戸一化の法的扱い等に関する自治体へのインタビュー、二戸一化の時代的・地域的動向等に関する不動産管理業者へのインタビュー、他の工事とくらべた場合の二戸一化工事の特殊性等に関する設計者・施工者へのインタビューなどを行う。さらに、複数の典型的な集合住宅の管理組合・居住者を現地訪問し、過去に実施された(また却下された)二戸一化工事の概要、代表的な実例の詳細、規約や審査・許可制度(改正の履歴を含む)の内容などを把握する。
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