2012 Fiscal Year Research-status Report
郊外団地型マンションのミクストコミュニティ形成に向けた「団地経営」手法の開発
Project/Area Number |
23760593
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
小杉 学 東北工業大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30410856)
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Keywords | 団地型マンション / 団地再生 / ミクストコミュニティ / 団地経営 / 管理組合 / 共用施設 |
Research Abstract |
平成24年度は、管理組合による「魅力の顕在化」手法開発として、「多世代交流施設の基本運営計画」をアクション・リサーチを通して行う予定であった。しかしながら、平成23年度に行った「多世代交流施設の基本設計」からの移行を円滑に行うことができなかった。この理由には、多世代交流施設の建設実施について、研究対象である西小中台団地管理組合における合意形成が難航し、結果的には建設実施が否決された点にある。全990戸(=990人の区分所有者)の西小中台団地において、多世代交流施設の建設には、区分所有法に基づいて、全区分所有者の4分の3以上(75%以上)の同意が必要であるが、実際には65%程度の同意に留まってしまった。これは35%の区分所有者が反対したわけではなく、本件について審議が行われる総会出席者が、予想に反して75%に留まってしまったことによる。投票がそのうちの10%が反対票を投じたため、賛同者は65%に留まってしまったのである。このような予想外の展開が起きうること自体が、アクション・リサーチによって得られたことは、実は大きな意味を持つと考えられる。「基本設計」から「基本運営計画」への間に、「合意形成戦略」というテーマが必要であることが明らかになった。「基本設計」にも合意形成の要素は含まれているが、それとは別に、大規模団地において、総会出席率自体をどのように確保するかは重要である。平成24年度は、「合意形成戦略」というテーマのもと、その取り組みの整理、否決という結果の要因、再挑戦に向けた戦略づくりにおける問題点について検証を行った。最も重要な結果として、基本設計以外の要因、特に管理組合理事会が権利者から信頼されていないことや、無関心層とのコミュニケーション方法の不在という2点が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定されていた「基本運営計画」を実施できなかった。その前提となる、多世代交流施設の建設についての合意形成が難航し、結果として管理組合総会で否決されてしまったことによる。しかしながら、このことにより「合意形成戦略」の段階の必要性が明らかとなり、また、そこでの課題等を検証できた点では、研究全体からすれば大きな進展ともいえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、24年度に実施できなかった、「基本運営計画」をアクション・リサーチを通して行う。また、再挑戦に向けた戦略が実践によってどのくらいの成果をあげられるのかの検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費:コンピューター・ソフトウェアAdobe CreativeSuite6万円×2=12万円。カラーレーザープリンター8万円 人件費:調査データ整理に学生アルバイト代として10万円 旅費:研究調査対象団地(千葉市)への往復費用2万円/回を月あたり2回で計算。だん2万×2回×12ヶ月=48万円 その他:文房具等で2万円 計80万円
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