2013 Fiscal Year Research-status Report
郊外団地型マンションのミクストコミュニティ形成に向けた「団地経営」手法の開発
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23760593
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
小杉 学 東北工業大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30410856)
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Keywords | 団地型マンション / 団地再生 / ミクストコミュニティ / 団地経営 / 管理組合 / 集会所 |
Research Abstract |
平成25年度は、住棟建替えがほとんど不可能な状況におかれている多くの郊外団地型マンションが、今後どのようにして団地のミクストコミュニティを持続できるのかについて検討を行った。その成果として「子育てが楽しい団地」「集会所の段階的リノベーション」というキーワードを抽出することができた。 「子育てが楽しい団地」は、子育て支援を専門とする民間企業を大々的に誘致したUR賃貸団地の団地再生事業との差別化を図るために、「子育てに便利な団地(機能的に子育てが助かる)」ではなく、郊外型団地に残るコミュニティの豊かさ、支え合いの人間関係を活かした「子育てが楽しい団地」を目標として設定するものである。 「集会所の段階的リノベーション」は、段階的に改修するため、一回ごとの改修費用は、巨額の費用負担を理由に反対者が多い集会所の全面建替えと比べると大幅に減額することができる点が大きな利点である。部分的ではあるが改修が実現し、集会所でこれまで以上にコミュニティ活動が効果的に展開できることが認識されれば、次回の改修への賛同者も増やすことが可能となる。 平成25年度のもう一つの取り組みとして、京都市のコーポラティブ住宅(入居希望者の建設組合による共同建設型の分譲集合住宅)「ユーコート」における、ミクストコミュニティ持続の実態を整理し、そこから導かれる「団地経営」手法の検討を行った。その結果としてアメニティの追求を目標とする管理組合運営モデルを提起している。具体的には、従来型のマンション管理である「統制的管理」に加えて、管理組合として「アメニティ創造」に取り組むというものである。統制的管理は、マンション管理ではよく知られている維持管理・運営管理・生活管理の3要素から成り立つ。新たに提案する「アメニティ創造」とは、交流基盤形成・共同居住支援・居住環境整備・集住作法継承の4要素である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定されていた、「多世代交流施設の運営」という今年度の検討事項については、平成24年度に集会所建替え決議が西小中台住宅管理組合総会否決されてしまったため、実施できなくなってしまった。これについては、このように、集会所建替え要件(団地権利者の4分の3以上)を満たすことがますます難しくなる状況において、ミクストコミュニティ形成を可能にする方策を検討することで代替とした。その結果として「子育てが楽しい団地」「集会所の段階的リノベーション」という方向性を打ち出すことができた。 もう一つ予定されていた、「管理組合としての住戸の転売・賃貸コントロール手法」については、京都市のコーポラティブ住宅「ユーコート」を事例とした観念的な検討までしか進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、「子育てが楽しい団地」及び「集会所の段階的リノベーション」の可能性およびアクションリサーチを通じた手法検討を進める。併せて、これまで得られた知見を統合し、「団地経営」手法の理論的検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額223円を使い切ることができませんでした。 残額は平成26年度の使用計画に取り入れて執行致します。
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