2013 Fiscal Year Research-status Report
住宅アフォーダビリティ問題と家賃補助政策に関する研究
Project/Area Number |
23760594
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
式 王美子 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (10512725)
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Keywords | 住宅政策 / 家賃補助 / アフォーダビリティ / 住居費負担 / 住宅問題 / 居住の貧困 / 低所得世帯 |
Research Abstract |
本研究は、日本におけるアフォーダビリティに関わる住宅問題の実証的な把握と、低所得世帯を対象にした国内外の住宅政策における家賃補助政策論の分析を行う。研究期間において、 (1)住宅アフォーダビリティと家賃補助政策に関する国内外の文献調査、(2)ミクロデータを使用した住宅問題の実証研究、(3)国内の住宅政策や家賃補助政策に関する政策議論に関する分析、以上の3つの研究項目について研究を進めている。平成25年度は次のような研究作業を実施した。 (1) 住宅アフォーダビリティ問題に関する国内外の研究論文の抽出・入手・レビューを行た。海外の文献においては学術的議論の蓄積のある米国の文献に焦点をしぼり、アフォーダビリティ問題研究に関する歴史的背景や実証的な研究手法の把握を行った。 (2) 1989年、1994年、1999年、2004年の全国消費者実態調査の個票データを用いて、近年の住宅アフォーダビリティ問題の実証的把握を行った。所得、住宅所有・形態、年齢別の家賃、年収、住居費負担(アフォーダビリティ)の経年変化について分析を行い、低所得及び若年・高年齢層において住居費負担が増加傾向にあることがわかった。(1)(2)の研究結果についてまとめ、都市住宅学会において発表を行った。 (3) 居住貧困に関する研究会や政策集会に参加し、市民団体や行政組織における政策議論の動向に関して情報収集を行った。また、住宅政策に加えて社会保障制度における居住に関わる制度について調査し、また関連する行政・市民・民間団体へのネットワーク形成を行い、今後のヒアリンリング調査への準備を行った。住宅政策と社会保障制度における低所得世帯向けの居住支援政策に関する議論を整理し、研究結果の一部を都市住宅学会関西支部シンポジウムにおいて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度末の1月から3月にかけて妊娠による体調不良のため作業を縮小せざるを得ず、結果として当初の計画よりも一部の研究作業がやや遅れている。 (1)国内外文献調査(2)実証分析(3)国内政策議論の分析の3つの研究作業について、(3)の国内の政策議論の分析に関してはおおむね順調に進展している。前年度に引き続き市民団体とのネットワークを通して市民団体と行政組織における住宅政策をめぐる議論について情報収集をすることができ、また社会保障政策に関連する資料収集やネットワーク構築に着手し、来年度に向けてのヒアリング調査の下準備をすることができた。 (1)の国内外の文献調査及び(2)実証分析について年度末に研究作業を進める予定であったが、前述の体調不良のため一部研究作業が遅れている。(1)に関しては住宅アフォーダビリティ問題研究に関するレヴューはできたが、政策議論に関する文献調査の整理がやや遅れている。(2)に関しては全国消費実態調査の分析が進み世帯の居住費負担についての分析は進んだが、住宅土地統計を用いた住宅データの分析がやや遅れている。これらの研究作業については、次年度の産休取得に向けて研究期間延長を含めて研究計画の見直しを行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年7月から9月にかけて産前産後の休暇取得予定であり、研究再開時に1年間の研究期間の延長申請を行い全体的な研究作業の見直しを計画している。研究作業の延長を考慮した上で、平成26年度については特に前年度に研究作業が遅れている(1)海外政策議論に関する文献調査と(2)住宅データ分析を中心に研究を進め、分析結果の学会や学術誌での発表を目指す。 (3)の政策議論研究では、住宅政策や社会保障制度策定にかかわる資料を分析するほか、昨年度に引き続き、ネットワークの形成及び政策形成のキーパーソン・組織を通して政策議論についての情報収集を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は年度末における妊娠による体調不良のため研究作業が当初の計画よりも縮小し、そのため「次年度に使用する予定の研究費」が発生している。 平成26年度は、7月から9月にかけて産前産後の休暇を取得予定であり、10月の研究再開時の研究計画の見直しでは作業期間延長や平成25年度の研究費の変更を考慮した上で、平成26年度以降の研究費計画を作成する予定であるが、具体的な使用用途は以下の通りである。(1)ソフトウェア・書籍の購入:世帯・住宅データの分析では統計ソフトのSAS/STATA/SPSSを使用しており、引き続きヴァージョンのアップグレードを行う。住宅や貧困居住に関する国内外の論文・書籍を購入する。2)謝礼:PC環境の整備や資料収集・データ分析などの研究作業の効率化を図るために、学部・大学院生を研究補助スタッフとして雇用する。(3)旅費:政策議論に関する情報収集のための研究会や政策集会への参加、ヒアリング調査、研究成果発表のための学会出席などを目的として旅費を支出する。(4)その他:文具や印刷、PC消耗品などを購入予定である。
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Research Products
(3 results)