2015 Fiscal Year Annual Research Report
住宅アフォーダビリティ問題と家賃補助政策に関する研究
Project/Area Number |
23760594
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
式 王美子 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (10512725)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 住宅政策と社会福祉政策 / 家賃補助と住宅扶助 / 低所得者 / ワーキングプア / 住居費負担 / 民間賃貸住宅 / 空き家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本におけるアフォーダビリティに関わる住宅問題の実証的な把握と、低所得世帯に関する国内外の住宅政策における家賃補助政策論の分析を目的としている。研究期間に、海外の文献調査、住宅・世帯データ分析、政策議論に関する分析、の3つの研究項目について研究を進めてきた。研究期間の最終年度となる平成27年度は、これら3つの項目に関わる研究成果をまとめ、国内外学会や研究会で発表を行い情報発信を行ったほか、関連機関や政策研究者からの情報収集により今後の発展が見込める研究領域に関する考察を行った。
研究成果の海外への発信に関しては、ポルトガル・リスボンで開催されたヨーロッパの住宅研究学会とシンガポールで開催された東アジア社会政策学会において発表を行った。ヨーロッパの学会では民間賃貸住宅セクションに参加し、ヨーロッパにおいて家賃補助政策を特に推進しているイギリスでは、家賃補助受給者と大家の関係についての分析が進んでいることがわかったほか、学会での交流によりヨーロッパの民間賃貸住宅研究者とのネットワーク形成を図ることができた。東アジアにおいては持ち家住宅への関心が強く、日本や欧米ほど民間賃宅住宅に関する政策議論が進んでいないことがわかった。
日本の住宅政策に関して、国土交通省の住宅関連の審議会資料によると、昨年度は若者の住居費負担の増加が課題として取り上げられたほか、空き家増加を背景に不動産関連団体の住宅政策への関心が高まったことが要因となり民間空家住宅を「準公営住宅」として指定する新制度が計画された。また、社会福祉関連の研究機関へのヒアリングを通して、厚生労働省でも従来の福祉施策や就職支援に留まらず、家賃補助等の居住面からの低所得世帯支援への関心の高まりがうかがえた。今後の研究としては社会福祉政策と住宅政策の居住支援を通した重なりや連携の可能性、施策ターゲット層や課題に注目していく必要がある。
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Research Products
(3 results)