2011 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児の遊び環境における必要なリスクの抽出とそのあり方
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23760597
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Research Institution | Gifu National College of Technology |
Principal Investigator |
藤田 大輔 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (50332028)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 遊び / 子ども / リスク / 遊具 |
Research Abstract |
■概要:今年度は、既往研究を元にした遊具製作に大半の時間を割いた。製作した遊具はご協力いただいた1園に1ヶ月程度設置し、延べ2日間の行動観察調査を実施した。今年度の補助金は遊具製作および実験遂行のため、全て物品費に充てられた。なお、学会発表はこども環境学会大会(平成24年4月)のための投稿を平成24年3月に済ませている。■製作遊具:既往研究を元に検討を重ね、遊びのリスクを抽出するためには、上下の移動(登る・降りる)に焦点を当てることが研究成果上適当と考えた。登る要素として多様なものを盛り込もうと考え、パイプ、垂直板材、水平板材、斜めの板材、ロープ、クライミングホールドの6タイプについて遊びの難易度が多様になるように工夫して製作した。形態は強度と次年度以降の変更しやすさを鑑み、350mm立方のフレームを組み合わせ、遊具全体で1750mm立方の大きさとしている。■実験・結果:許可が得られた年中・年長の2クラスの全園児を対象とし行動観察を行った。調査員3名が写真撮影および平面図への記録を行い、ビデオカメラ3台での定点記録も実施した。その結果、1)仰向けやうつぶせの状態からクライミングホールドを取りに行く際の難易度、2)ぶら下がって身体を振り子のように振る際の個人差、3)手がかり、足がかりがあまり無い状態での登る動作などについて分析した。また、4)安全管理上通って欲しくない箇所は150mmの高さとしたが、園児によっては通り抜けてしまう場面があったこと、5)斜めの板材の高さ位置等によって滑り降りる行動が異なり、床面近くの斜め板材では滑り降りる際にパイプ縦材に足がひっかかる場面があったこと、など今後の遊具製作で配慮すべき点が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検討を慎重に重ねたため、遊具デザインの決定が11月までかかったが、同時進行で部材の発注を実施した。遊具の制作・設置は12月に終え、行動観察は12月と1月に実施している。その後、データをまとめ学会発表のための梗概を作成した。以上の通り概ね計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、設置した遊具の行動観察調査を複数回実施すると共に、保育者と遊具製作について協同的に取り組む予定である。また、登る行為以外にリスクが生じる行為を抽出し、子どもの遊びに対して様々な知見が得られるように配慮したい。この他、撮りためた動画について分析を行い、遊び行為の移り変わりの中で生じるリスクについても取り扱う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費:動画の解析のため処理能力の高いPC、動画編集アプリケーション、遊具の部材旅費:こども環境学会大会、日本建築学会東海支部研究発表会、魅力的な遊具環境を有する園への見学・ヒアリング調査謝金:実験先へのお礼その他:関連学会年会費
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