2013 Fiscal Year Annual Research Report
福祉施設における生活の質の向上を目的とした環境診療に関する研究
Project/Area Number |
23760598
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Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
加藤 悠介 豊田工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (80455138)
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Keywords | アクションリサーチ / 福祉施設 / 児童養護施設 / デイサービスセンター / 特別養護老人ホーム |
Research Abstract |
本研究では、3つの福祉施設において、利用者のQOL向上に寄与するケア環境を実現するために、研究活動と実践活動が一体化したアクションリサーチの考え方にもとづいた環境診療を行うことを目的としている。具体的には、新設の高齢者デイサービスセンター(以下、DSと略す)、開設後10年以上を経た老人保健施設、移転建て替えを行った児童養護施設を対象とした。 平成25年度は、DSおよび児童養護施設については、平成24年度に収集した調査データの分析に加えて補完的な調査も実施し、多面的にみた環境診療に関する研究論文としてまとめる準備を行った。平成26年度中に学会誌などに発表する予定である。 一方で、開設後10年以上を経た老人保健施設については、研究開始当初に予定していた施設の協力を得ることができなかったため、規模や開設期間が近い、1998年開設でRC造2階建ての特別養護老人ホームを研究対象として新たに選定して研究を進めた。平成25年度には、ケアスタッフと協働で、施設の問題点を整理し、実際の環境づくりにつなげることを目標に環境診療を行った。ケアスタッフに対するヒアリングの結果、居住者が1日中同じ場所で過ごしていることから、在宅生活では自然に使ってきた様々な能力を施設生活で活かせていないことが問題として整理できた。そして、有効に使用されていない廊下の突き当たり空間を対象に、ケアスタッフと議論しながら、ソファやテーブル、冷蔵庫などの家具や電化製品を配置する環境づくりを平成26年1月に実施した。その後、ケアスタッフによる検証では、居住者がゆっくりと飲食する様子や自ら飲み物を用意する行動がみられ、環境づくりの目的の一部が達成されたことが確認できた。今後は、研究者がより詳細な調査を実施し、さらなる環境づくりの効果の検証を行い、環境診療のツールを開発する予定である。
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Research Products
(1 results)