2011 Fiscal Year Research-status Report
古代地中海世界のヘレニズム期の複合墓・墳墓の地域性と時代性に関する研究
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23760601
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 明純 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00344549)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 墳墓 / 複合墓 / 墓 / 古代ギリシア建築 / ヘレニズム / ギリシア / イタリア / 西洋建築史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、古代地中海世界のヘレニズム期の墓の体系化に向けて、建築形態、建築技術、造型理念の観点から、墳墓・複合墓の地域性や時代性を明らかにすることにある。これに向けて、平成23年度は、研究対象をギリシア・イタリアの複合墓・墳墓とし、「建築形態の比較」、「設計法の検討」を行った。 建築形態の比較研究では、ヘレニズムの磨崖墓調査報告書等の資料の分析、及び現地での視察を通して、磨崖墓の形態的特徴を整理し、各時代、各地域について比較検討を行った。これにより、ギリシアのマケドニアの墳墓は、他地域の墳墓とは大きく異なり、墳墓の下にギリシア神殿式のファサードを持ち、ヴォールト天井を持つ切石積みの墓を建造するといった形式を採用していることや、軸線を同じくする前室と後室とを持つ平面構成を持つことなどが把握された。また、マケドニア式墳墓の中には、書き割り的な構成ではあるが、2層構成のファサードを持つものがある。こうした墓の特徴は、ナバテアの磨崖墓によく見られる構成であり、今後、ナバテアの磨崖墓との比較研究が必要とされる。 設計法の検討では、神殿等の他種の地中海建築の設計法を参考に、マケドニア式墳墓の設計法の解明の可否について検討した。前述の通り、マケドニア式墳墓のファサードは、ギリシア神殿式のファサードを持ち、オーダーを採用した墓が多い。従って、神殿等の他種の地中海建築の設計法を参考に、マケドニア式墳墓の設計法の解明が可能だと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
建築形態や設計法の観点からイタリア、ギリシア地域の墳墓、複合墓の建築的特徴の把握ができたため、研究は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、調査地域を地中海の東部地域(トルコ等)や南部地域(エジプト等)に拡大して、その墳墓や複合墓の建築的特徴を把握し、各地域毎の墳墓、複合墓の特徴を把握する必要がある。また、上述の通り、マケドニア式墳墓とナバテアの磨崖墓のファサードには共通点を見いだせる可能性があるので、これについての検討も必要である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、地中海の東部地域に着目して、その墳墓や複合墓の建築的特徴の把握を行う。この中で、トルコの視察調査のための旅費、視察調査における写真資料の作成のための望遠カメラレンズの購入費用、地中海の東部地域で発掘された墳墓や複合墓の調査報告書等の文献購入費用が必要とされる。前年度繰越金は、文献購入費用として使用する。
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