2013 Fiscal Year Annual Research Report
古代地中海世界のヘレニズム期の複合墓・墳墓の地域性と時代性に関する研究
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23760601
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 明純 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00344549)
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Keywords | 古代ギリシア / ギリシア / エジプト / ヘレニズム / 墳墓 / 複合墓 |
Research Abstract |
本研究の目的は、古代地中海世界のヘレニズム期の墓の体系化に向けて、建築形態、建築技術、造型理念の観点から、墳墓・複合墓の地域性や時代性を明らかにすることにある。これに向けて、平成25年度は、研究対象をエジプト、ギリシアの墳墓・複合墓とし、「建築形態の比較」、「建築技術の比較」、「設計法の検討」を行った。なお、当初の計画では、平成25年度は視察調査の対象地域をエジプトとしていたが、治安悪化を受けて、視察調査の対象地域を平成23年度のギリシア調査では確認できなかった地域へと変更した。 建築形態の比較研究では、ヘレニズムの墳墓・複合墓調査報告書等の資料の分析、及び現地での視察を通して、墳墓・複合墓の形態的特徴を整理し、各時代、各地域について比較検討を行った。これにより、キュレネに複合墓が集中していることが把握された。また、このキュレネの複合墓には、一見すると家型墓に見えるもの、あるいは磨崖墓に見えるものの2種類の複合墓があり、キュレネにおいては、家型墓を意識して設計された複合墓、あるいは磨崖墓を意識して設計された設計趣旨の異なる2種類の複合墓が存在している可能性があることが把握された。従って、キュレネの複合墓においては、設計法の分析が有益だといえる。 また、エジプト地域の地下墳墓は、発掘後に補修が行われており、今後実測調査を行ったとしても、細かな寸法については、信頼性の低いものである可能性が高いことが把握された。従って、設計法の検討においては、細かな部分の設計法の分析は難しく、室の規模や配置計画など大まかな分析を進めることが有用であることが把握された。
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