2011 Fiscal Year Research-status Report
17世紀ヴェネツィアにおける公衆オペラ劇場誕生の経緯とその実態
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23760603
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
青木 香代子 東京芸術大学, 美術学部, 助手 (00597065)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ヴェネツィア / ルネサンス / 建築史 / 都市史 / 劇場史 |
Research Abstract |
当該年度はまず、本研究の基盤となる17世紀初頭ヴェネツィアの時代背景を理解するために関連する既往研究を収集・講読した。さらに、そこからの理解をもとに、2012年3月、14日間にわたる調査をヴェネツィアで実施した。現地調査では、ヴェネツィア国立古文書館において、元老院、十人委員会の議事録に記されている重要事項を抜粋、デジタルデータでの複写を行った。この作業は、それが未交刊の一次史料であることからも極めて高い重要性をもつもので、次年度以降、本研究を進展させるうえで重要な成果となった。また収集した史料の解読と分析により、17世紀初頭に限定するのではなく、16世紀後半からヴェネツィアに色濃くみられた対抗宗教改革の影響と、それによる内政・外交政策の転換の流れの中で当時のヴェネツィア社会の特質を理解することが次年度以降の重要な課題となることが分かった。また、当時ヴェネツィアで建設された劇場のほとんどが貴族個人が建設・所有し、興行主を雇って運営した一方で、共和国政府による公的な祝祭の場としても使用された事例が多くあることを確認した。このことから、同様に、公的な祝祭の場としての使用を念頭において行われた16世紀末のサン・マルコ広場における建築的介入の実態を理解する必要性があることが明確になり、その解明に向け関連する既往研究の収集・講読を開始した。その中で、当時のヴェネツィアで行われた公的な建設事業に、ヴェネツィア共和国政府の政治的な特質が如実に表れていたという事実を理解することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画どおり、本研究の基盤となる時代背景を理解するための十分な文献・資料を収集し、翻訳・講読を進めている。さらに、ヴェネツィア国立古文書館において収集した一次史料は本研究の進展において欠くことのできない重要なものであった。以上のことから本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、まず当該年度に収集した一次史料ならびに関連する研究の分析と現地調査を通して、16世紀末に行われたサン・マルコ広場における建築的介入の実態をより明確にすることを目標とする。さらに、サン・マルコ広場に関わらず、同時代のヴェネツィアで行われた公的建設事象においても、当時の政治状況がどのように影響を与えているかを理解する。そして、その次段階として、17世紀初頭に建設されたテアトロ・サン・カッシアーノの建設とその実態を明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は二度の調査を予定している。それぞれ10日程度の滞在で、旅費として合計700.000円ほどの使用を計画している。そのほか主に書籍、パソコン・ソフト、デジタルカメラの購入費に充てる予定である。
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