2013 Fiscal Year Annual Research Report
モロッコにおけるアンリ・プロストの都市計画とアール・デコの建築に関する統合的研究
Project/Area Number |
23760606
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
三田村 哲哉 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (70381457)
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Keywords | アンリ・プロスト / アール・デコ / モロッコ / 都市計画 / カサブランカ / ラバト / ユベール・リヨテ / ラ・マムーニャ |
Research Abstract |
本研究はモロッコにおける都市計画とアール・デコの建築を統合的に捉えて、20世紀前半のフランス近代都市建築の新たな一側面を描き出す試みである。その中心人物はフランスの建築家・都市計画家アンリ・プロスト(Henri PROST, 1974-1959)で、彼は保護領モロッコ初代総督ユベール・リヨテ(Hubert LYAUTEY, 1854-1934)の命を受けて、国内15都市の計画を描き出すとともに、マラケシュにアール・デコの名作ラ・マムーニャなどを建設した。本研究期間において明らかにしたことは次の3点である。尚、本研究はパリ21世紀建築資料センター、パリ国立古文書館、モロッコ国立・王立図書館・古文書館、トレ・リヨテ館図書室、ミュゼ・ソシアル図書室ほかにおいて収集した史料に基いている。 ①リヨテの分離政策に基づいた都市計画に関する考察は、これまで主に居住地を対象としたもので、メディナと新市街という形で解釈されてきた。しかし当地の官報によると、歴史的・文化的価値のある建築やモニュメントは、本国フランスとほぼ同様に保全する政策が執られており、メディナ外のこうした建造物も保存することによって、現地の文化を継承する意向が鮮明に示されていた。 ②その一方、プロストが新市街の建築にフランスの若手建築家を多く起用したことによって、当時最新の様式を用いた作品が次々に建設された。アール・デコの建築はこうした政策の下で各都市に建設されたものと考えられる。 ③プロストはモロッコ15都市の拡張計画を実際に描き出す中で、旧市街と新市街、あるいは歴史地区と新都市という、これら両者を共存させる形で、都市圏の拡張を推進しつつ、歴史的都市の近代化を成し遂げる設計手法を確立した。この手法は、モロッコ15都市いずれにおいても確認されるもので、理論というよりはむしろ実践から生み出されたものであると言える。
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Research Products
(4 results)