2012 Fiscal Year Annual Research Report
ファシズム期イタリアの公団住宅とO.N.D.施設を中心とした地域生活圏の解明
Project/Area Number |
23760610
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
奥田 耕一郎 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (50454103)
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Keywords | ドーポラヴォーロ / 建築史・意匠 / 近代建築史 / ファシズム / イタリア |
Research Abstract |
本研究は、ファシズム期イタリアの全国ドーポラヴォーロ事業団(以下O.N.D.)と国民住宅公団(以下ICP)の活動を明らかにしつつ、ファシズム体制下の市民生活の場を分析するものである。平成24年度は前年度末の計画に基づき調査・研究を推進し、主に次のような成果を得た。 1)前年度に現況調査を行ったヴェルチェッリ県ドーポラヴォーロについて、未公刊資料の調査とその集約・整理を行い、建設時の事実関係を明らかにした。この建築は技師F.フランチェーゼ(1902-?)の設計で1936年に竣工したもので、新築で整備された数少ない県ドーポラヴォーロのひとつであるといえる。 2)公的に整備された集合住宅については、ICPだけでなく国立国家公務員住宅公団(INCIS)のものも比較対象として加え、ひろく各地の事例について資料を収集、分析を行った。これら住宅の都市内における配置計画は一様とは言いがたいが、計画都市リットリア(現ラティーナ)においては、INCISの住宅が他の公共建築とともに都心を形成する一方、ICPの住宅は都市の拡張計画とともにわずかながら都心から離れた地区に整備され、O.N.D.施設へは一本の街路で結ばれていた。 3)O.N.D.施設のさらなる事例収集として、O.N.D.による出版物等でその建設や開館が広く伝えられたフェラーラとパルマの県ドーポラヴォーロのほか、ベルガモ県ネンブロの「カーサ・リットリア」とイーモラ市ドーポラヴォーロの現存を確認、これらの現況調査と関連資料調査を行った。特にパルマ県ドーポラヴォーロについては、1905年に同地に建設された公衆浴場を転用した施設で、その際にリバティ・スタイルの装飾要素を取り除き、モダニズムのデザインで内外を改修したことが確認された。また、1932年開館のイーモラ市の事例も新築によって整備された施設であり、重要な事例のひとつであるといえる。
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Research Products
(2 results)