2013 Fiscal Year Annual Research Report
両大戦間期ドイツのジードルンク建設における計画理念とその受容の実態解明
Project/Area Number |
23760611
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
海老澤 模奈人 東京工芸大学, 工学部, 准教授 (40410039)
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Keywords | 近代建築史 / ドイツ / モダニズム / ジードルンク / 建築保存・改修 / 集合住宅 / 住宅史 |
Research Abstract |
前年度までの研究を継続し、建築調査と資料収集、論文執筆を進めた。2013年9月から2014年3月まで、所属する大学の教員特別研修でドイツのミュンヘンに研究滞在したため、この7ヶ月間に集中的に本研究課題に取り組むことができた。主な作業内容は以下の通りである。 ・前年度までの調査成果をもとに、オットー・ヘスラーによるツェレのジードルンク・ブルームレーガー・フェルトの成立と変遷に関する論文をまとめた。この論文は、本研究課題のテーマである両大戦間期ジードルンクの受容の実態を具体的に提示したケーススタディの一つとなった。 ・エルンスト・マイによるフランクフルトでの建設活動に関して、フランクフルトおよびニュルンベルクで補足調査と資料収集を行い、その成果をもとに論文をまとめた。この論文は、1920年代後半の厳しい経済状況の中、マイの住宅建設が次第に効率性重視へと移行して行く状況を明らかにしたものであり、当時のジードルンク建設の実態を考察する成果の一つとなった。 ・ヴァルター・グロピウスによる初期ジードルンクに関する建築調査と資料収集を、デッサウ、カールスルーエ、ベルリンにて実施し、その成果を論文としてまとめた。グロピウスが彼独自の住居の型を設定しつつ、短い期間に計画を修正していく状況を、彼の水平連続窓の表現に着目しつつ考察したものである。彼の建築活動に関する新たな視点を提供する成果の一つとなった。 ・さらにドイツ滞在中にベルリン、ライプツィヒ、バート・デュレンベルク、ハンブルク、ミュンヘン等のジードルンクを訪問調査し、資料収集を行った。また1920年代後半ドイツの建築雑誌を広く調査し、ジードルンクに関連する記事を網羅的に収集した。以上のように最終年度において補足的な調査と資料収集を終え、個別の事例についての論文執筆も進んだ。これらの成果を総合的な成果としてとりまとめるのが、今後の課題である。
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