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2011 Fiscal Year Research-status Report

古代エジプト新王国時代からプトレマイオス王朝時代の石切り場研究

Research Project

Project/Area Number 23760612
Research InstitutionKokushikan University

Principal Investigator

遠藤 孝治  国士舘大学, イラク古代文化研究所, 研究員 (50407201)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywordsエジプト / プトレマイオス王朝時代 / 新王国時代 / 石切り場
Research Abstract

本研究課題は、古代エジプトの新王国時代から、その約1,000年後に当たるプトレマイオス王朝時代にかけての石切り場に残存する赤線と文字の解釈を試みるものであり、古代エジプト社会が変容し、利用された工具や文字も時代を追って変わっていく中で、採石作業に関わる労働記録の方法がどのように変化していったのかという点と、逆に継承された点が何であったのかということを明らかにすることを目的としている。申請者は、これまでに実施してきた古代エジプトの新王国時代からプトレマイオス王朝時代の石切り場での現地調査において、多数の赤線と文字による労働記録を発見し、それらの意味について考察を行ってきた。これらの石切り場の天井面や壁面に残された赤線や文字は、従来まで詳しい報告がされたことはなく、全て資料化して解釈とあわせて初めて公表する学問的意義は高い。平成23年度は平成18年~平成22年に現地調査を実施したザーウィヤト・スルターン地区のプトレマイオス王朝時代の石切り場について、特に大型の直方体ブロック石材の獲得方法と石切り場の壁面に書き残された赤線と文字との関係に着目し、大型ブロックの採石手順について復元考察を試みた。また、これまでの研究成果を基に、赤線に伴って日付や人名、長さ等の文字の書き付けが残存する13箇所の石切り場の事例について、大きく2つのグループに分類できることを明らかにした。第1のグループAはいずれも新王国時代に属する事例であり、長い平行線が20cm程の間隔で無数に引かれ、短い交差線がそれらを区切るように80cm程度の間隔で引かれるという特徴がある。第2のグループBは末期王朝時代からプトレマイオス王朝時代に属する事例であり、赤線が密ではなく、広い領域を示すように疎らに引かれている点が特徴である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の研究計画では全体で2年間の計画のうち、1年目の平成23年度に1度の現地調査を実施する予定であった。しかしながら、昨年2月のムバラク政権崩壊後も依然としてエジプト国内の情勢は緊迫した状態が続き、とりわけ申請者の中心的な調査地域である中部エジプトについては外国人の長期滞在が危険な状況にあったため、12月に予定をしていた平成23年度中の現地調査はやむを得ず延期することにした。平成23年度に予定していた現地調査が実施できなかったことにより、「研究の目的」の達成度は全体として「やや遅れている」と自己評価するが、その代わりにこれまでに実施をしてきた現地調査で収集をした各種資料の整理については当初の予定よりも進行しており、ザーウィヤト・スルターン地区のプトレマイオス王朝時代の石切り場の調査で作成してきた膨大な数の建築図面と文字については、描画ソフトウェアを利用して作図を進めており、文字の位置と赤線の配置を明示した天井詳細図を作成済である。また、現地調査の代わりに、エジプト各地の年代の異なる石切り場に関する文献調査を行うことで、本研究課題の主たる研究目的である新王国時代からプトレマイオス王朝時代までの労働実態の変化について比較検討が進められつつある状況である。なお、平成23年度に計画をしていた現地調査については、平成24年8月に実施すべく準備を行っている。

Strategy for Future Research Activity

前年度と同様に、エジプトの情勢が不安定な状況が続く場合には現地調査を予定通り平成24年8月に実施できるかどうか不確定な要素が残るが、現時点では外務省より注意喚起は出されているものの渡航禁止には至っていないため、全体としての研究計画の変更は考えていない。従って、今後の研究推進方策としては、計画1年目の平成23年度に大きなウェイトを占めていた海外出張費をすべて平成24年度に繰り越しを行い、平成24年度に研究費を集約して、現地調査において残された課題を集中的に解決することで、本研究課題の目的達成を図る計画である。現地調査は、短期間で効率的・効果的に成果をあげるために、国内作業として渡航前に課題リストと作業スケジュールを作成し、調査項目の抜け漏れ防止を図る。また、調査で収集された膨大なデータの整理や作図作業については、研究補助を依頼することで作業速度の向上を図る予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度は、平成23年度に予定していた現地調査を繰り越しするため、海外出張費のほか、エジプト国内での移動費用や調査活動に要する物品の購入が必須である。海外出張は平成24年8月に約2週間の現地調査を行い、中部エジプトから上エジプトにわたる新王国時代からプトレマイオス王朝時代の4箇所の石切り場を回る計画である。これまでの調査により、石切り場に残された文字は基本的に「3つの数字の組み合わせ」となっており、「幅×奥行き×高さ」の順に赤線で囲まれた領域を計測した数値を記載していることを明らかにしているが、石切り場における赤線と文字の位置関係と実測値の分析において必要なソフトウェアの購入を予定している。また、上記の通り、過去の蓄積としての膨大なデータの整理とデジタル処理の作図作業においては、作業速度向上のために謝金によって研究補助員を採用する計画である。研究成果の公開は主に学術論文としての発表を行うことで研究費を使用する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2011

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] プトレマイオス王朝時代の大型石材の採石場における赤線と文字2011

    • Author(s)
      遠藤孝治
    • Journal Title

      『エジプト学研究』

      Volume: 第17号 Pages: 185-195頁

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2013-07-10  

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