2011 Fiscal Year Research-status Report
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23760620
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤枝 俊 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60551893)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | Fe-Pt合金 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
多価アルコールであるポリオールを溶媒および還元剤とした液相還元法において、Fe基合金相およびその酸化物相の複合粒子の合成を試みた。その結果、ポリオールであるエチレングリコールおよび添加剤として水酸化ナトリウムを利用することにより、FePt合金相および酸化物相で構成される複合ナノ粒子を合成することに成功した。この粒子のX線吸収分光測定を行い、酸化物相がFeおよびPtで構成されていることを強く示唆する結果を得た。また、還元雰囲気において異なる温度で熱処理を施した複合ナノ粒子のX線回折測定およびX線吸収分光測定の結果を解析することにより、そのFeおよびPtの酸化物相は還元されてFePt合金相に変化することを突き止めた。さらに、熱処理温度が比較的低いため、粒子の凝集を比較的抑制した状態で酸化物相が還元されることを示した。 本年度は、Fe-Pt二元系状態図とFe高濃度領域で同様の特色を示すFeNi合金の合成にも取り組んだ。その結果、上述のポリオールを用いた液相還元法によりFeおよびNiを含む前駆体粒子を合成し、それに還元雰囲気で熱処理を施すことによりFeNi合金微粒子を合成することに成功した。前駆体粒子のFeおよびNi濃度は、投入金属塩比を調整することにより広い濃度領域で制御できることが明らかになった。つまり、本方法により広い範囲で組成を制御したFeNi合金微粒子が得られることを突き止めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、合金相と酸化物相の複合粒子を合成して、それにシリカによるコーティングまたはNaCl粒子との混合などをして粒子の焼結を抑制するための処置した後に、還元雰囲気での熱処理を施す予定であった。しかし、本年度の研究において、液相法による複合粒子の合成条件を調整することにより、粒子の焼結を比較的抑制出来る低温で酸化物相は金属相に還元されることが明らかになった。 本年度は、広い組成範囲においてFeNi合金粒子の合成にも成功した。当初の計画ではFePt合金粒子を中心にしていたが、その手法を利用することによりFeNi合金粒子にも研究を展開することが出来た。Fe-Ni二元系状態図は、Fe高濃度領域においてFe-Pt系と同様の特色を示すため、研究の大きな進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた結果を基にして、予定通りFe基ナノ粒子の磁気特性の検討に取り組む。詳細な磁化測定を行い、飽和磁化、キュリー温度および磁気熱量効果等の評価を行う。また、メスバウアー効果によりFe基ナノ粒子の原子核での内部磁場を評価し、無磁場での磁気状態についても調べる。これらの測定結果に基づいて、磁気冷凍用微粒子材料への応用について検討する。得られた結果は、随時取りまとめ、成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、主に消耗品費、旅費および共通機器使用費として使用する。消耗品としてはFe基ナノ粒子合成のための金属塩、ポリオールおよび粒子洗浄用の薬品を主に購入する。また、旅費は成果発表もしくは情報収集をするために国内外の学会に参加するために使用する。共通機器使用費は、電子顕微鏡およびSQUID磁力計を用いて形態観察や磁気特性評価を行うために使用する。 次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度の請求額と合わせて計画している研究の遂行に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)