2012 Fiscal Year Annual Research Report
局在構造計測による炭素系ワイドギャップ半導体の電極界面構造と電流輸送特性の相関
Project/Area Number |
23760622
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
着本 享 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 講師 (50346087)
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Keywords | 界面 / 半導体 / 原子構造 / 電気特性 |
Research Abstract |
パワーデバイス用半導体として耐熱性に優れた炭素系半導体であるシリコンカーバイドが注目されており、低抵抗な電極界面形成が要求される。本研究では、シリコンカーバイド半導体について電極作製および特性評価を行い、微構造計測(原子分解能構造計測)と理論計算(緩和構造や電子状態)を組み合わせて、電極界面における原子構造と電流輸送の相関を理解することを目的とした。 平成24年度は、研究遂行してきたチタン合金を用いたp型伝導性に対する低抵抗電極材料(チタン-シリコン-炭素の三元系化合物層)を中心に電極界面における原子構造と電気特性との関連について重点的に調べてきた。汎用透過電子顕微鏡(TEM)に加えて原子分解能を有する走査透過電子顕微鏡(STEM)を用いて電極界面やその近傍における原子構造を明らかにした。本研究では、電極界面において軽元素である炭素のサイトや可視化が最も必要であり、炭素-金属などの結合状態の原子レベル解析について上記原子分解STEMを用いて行った。さらに電極界面の最安定緩和構造は、大規模なスーパーセルに対して第一原理を用いて計算抽出した。この緩和原子構造モデルと非平衡グリーン関数理論とを組み合わせて、電極/半導体/電極の計算モデルを作製し、電流-電圧特性や電子密度、ポテンシャル変化などを詳細に調べた。特に急峻な電極界面における炭素層の存在が金属/半導体界面に形成するショットキー障壁を低減化し、電流輸送特性を向上させるとともに、電極形成時におけるナノスケール凹凸(テラス-レッジ界面構造)が電流輸送特性に影響を及ぼすことを明らかにした。とりわけレッジ近傍のテラス部において電荷分布が大きく、この部分で電流輸送が大きいことを示唆した。本研究成果は、次世代デバイス用炭素系半導体として期待されるダイヤモンドに対する電極形成技術開発にも貢献できる知見である。
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Research Products
(5 results)