2011 Fiscal Year Research-status Report
不規則性を考慮した第一原理電子状態計算によるマルテンサイト変態に関する研究
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23760624
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小倉 昌子 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30397640)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 構造・機能性材料 / 磁性 / 計算物理 / 格子欠陥 |
Research Abstract |
マルテンサイト変態の背後にある機構、特に系の不均一性や非化学量論組成の与える影響および構造安定性と磁性との関係の解明に向けて、不規則性を考慮した高精度第一原理電子状態計算を行った。本年度は、Fe-Pd合金、Fe3Ptといったこれまで詳細な実験が行われており、第一原理計算による議論も試みられている系について、全エネルギーを計算し、構造の安定性を評価した。本研究ではフルポテンシャルKorringa-Kohn-Rostoker法にコヒーレントポテンシャル近似を組み合わせることによって不規則合金の電子状態を取り扱う。まず、計算で用いるパラメータの評価を行ったところ、本研究のような歪みを取り扱う場合にはかなり大きな角運動まで考慮しなければいけないことがわかった。次に規則合金であるFe3Pdのc/a比に対する全エネルギー計算の結果を他の第一原理計算手法によるものと比較して、本研究の計算手法が、比較的信頼性が高いと言われるFLAPW法と矛盾しない結果が得られることを確認した。その後、Fe-Pd不規則合金の体積、c/a比に対するbinding energy surfaceを計算したところ、fccからbccへの構造相転移は確認できたものの、実験で観測されているfct相は得られなかった。この点については今後さらなる議論が必要である。 また、今年度はホイスラー合金系の磁性の評価に関する研究も行った。Ni2MnInに歪みや欠陥を導入した際の有効交換相互作用定数の変化を調べた。また、NiやMnの一部を他の遷移金属不純物で置き換えることによる磁性のコントロールを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していたよりも多くの計算量を必要とすることが明らかになったが、おおむね当初の予定通り進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度計画で達成できなかったものから引き続き計画を推進する。今後は、不規則性・格子欠陥に重点を絞って研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主にクラスターノードの購入と旅費に使用する。研究費の使用についても計画通りなので、このまま当初の計画に沿って進める。
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Research Products
(5 results)