2012 Fiscal Year Annual Research Report
ボロン正20面体クラスター固体への新たな手法によるホール注入と超伝導発現の探求
Project/Area Number |
23760625
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
兵藤 宏 東京理科大学, 基礎工学部, 助教 (30548863)
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Keywords | デドープ / ボロン正20面体クラスター固体 / 電気化学 / ホールドープ / リチウム / ドーピング / 超伝導 |
Research Abstract |
β菱面体晶ボロン(β-B)は単体ボロンの最安定相であり、B12ボロン正20面体クラスターを構成要素とする巨大単位胞固体である。β-BにLiをドープすると、電子過剰を補償するためにBが脱離する自己補償が生じる。ここで、LiをドープしBを脱離させた後にLiをデドーピングすることができれば、過去の研究では成功したことがないβ-Bへのホールドープを行うことができると考えられる。本研究の目的は、自己補償を利用したβ-Bへのユニークなホール注入方法を開発することと、新規高温超伝導材料の探求を行うことである。 平成24年度は電気化学的Liドーピング/デドーピングに関する研究を精力的に行った。β-B、Liドープβ-Bは電気伝導性が悪いため、電気化学的手法を用いて電位差をつけても、ショットキー障壁ができてしまい、Liドープ/デドープが困難であることがわかった。特にLiデドープでは、溶液が分解するまで電圧を印加しても何の反応も生じなかった。そこで、電気伝導性に優れるVドープβ-BへのLiドープを試みた。その結果、VB2の生成、V占有率の低下が観測されたことから、LiドープによりV及びBが脱離する「拡張された自己補償」が生じることがわかった。この現象は熱処理によるLiドープでも観測されているが、室温における結晶構造内での原子の拡散が観察できたということは大きな発見である。 また本研究期間全体では、熱処理、酸化剤を用いることでLiをデドープしたβ-Bを作製することができた。特に熱処理温度を制御することで、侵入型サイトのBの占有率を制御することができた。600℃で熱処理した試料は侵入型サイトのBの脱離を保ったままLiデドープに成功したことから、ホールドープに成功したと考えられる。今後の課題は物性測定である。ホールドープによりキャリアを注入することができれば、高温超伝導の発現が期待できる。
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[Presentation] Superconductivity and self-compensation in metal doped Boron icosahedral cluster solids2012
Author(s)
Hiroshi Hyodo, T. Nagatochi, A. Sumiyoshi, K. Soga, Y. Sato, M. Terauchi, K. Kirihara, K. Kawaguchi, Y. Shimizu, T. Sasaki, N. Koshizaki and K. Kimura
Organizer
MS&T - Materials Science and Technology Conference and Exhibition 2012
Place of Presentation
Pittsburgh, USA
Year and Date
20121007-20121011
Invited
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