2012 Fiscal Year Research-status Report
組織配向制御した酸素透過性セラミックスの創製とその効果
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23760637
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
籠宮 功 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40318811)
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Keywords | 国際研究者交流(オーストラリア) / 固体イオニクス / 混合導電性セラミックス |
Research Abstract |
①空間群Pbnmに属するペロブスカイト酸化物(Sm1-xCax)FeO3-d(x = 0.2, 0.25, 0.3) 焼結体を作製し酸素透過速度を測定した。その結果、Ca固溶量増加に伴い酸素透過の活性化エネルギーが低下した。すなわち、Caの固溶に伴い、酸化物イオンの輸送が容易になったことを意味する。リートベルト解析によりCa固溶量の変化に伴う結晶構造の変化を調べたところ、Fe-O2(s), Fe-O1(m)間の結合距離が短縮されたことがわかった。このことから、この系の酸化物イオンがc軸方向を優先的に輸送し、Ca固溶に伴いその輸送距離が短縮されたため輸送しやすくなったと考えることができる。 ②酸化物イオン導電性が高いSrFeO3-dについて、単結晶中性子回折、x線回折を行い、室温において結晶構造および酸素欠損構造を調べた。その結果によると、SrFeO3-dがこれまで報告のある結晶対称性よりも低い単斜晶であることを明らかにした。このとき酸素欠損は規則的に生じており、これより酸化物イオンの輸送しやすい方向の推定が可能となった。 ③正方晶層状ペロブスカイトSr-Fe系混合導電性酸化物について、この酸素欠損構造および第一原理計算により得られた酸化物イオンの輸送エネルギーより、この酸化物の酸化物イオンの優先的な輸送経路を推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度までに、酸素透過性を示し異方性を有するFe系ペロブスカイト酸化物において、当初の計画どおり結晶構造解析に基づいて、酸化物イオンの優先的に輸送する方向を特定することができたため、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度において得られた(Sm1-xCax)FeO3-dもしくはSrFeO3-d、正方晶Sr-Fe層状ペロブスカイトにおける酸化物イオンの優先輸送方向に基づいて、高配向制御セラミックスの作製を試みる。具体的には、溶融塩法により、上記鉄系酸化物の板状テンプレート粒子を作製し、このテンプレート板状粒子と、か焼粉体を用いてシート成形し、そのシートを積層させることで、高配向性セラミックスを作製する。得られた高配向性セラミックスの酸素透過速度を測定し、無配向試料の場合と比較する。以上の結果より、配向制御が、酸化物イオン導電性、酸素透過性に与える効果を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記のように、今後特に力を注ぐ計画を立てている高配向制御セラミックスの試料作製、測定に関する原材料、物品を、次年度の研究費の主な使用用途とする。なお、今年度が本研究テーマの最終年度のため、積極的に成果発表を行う予定である。この成果発表に必要な経費を計上する。
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Research Products
(9 results)