2012 Fiscal Year Annual Research Report
錯体重合法を用いた難合成ヘキサフェライトの単相合成と電気磁気効果の評価
Project/Area Number |
23760641
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
菊池 丈幸 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50316048)
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Keywords | 機能性セラミックス / マルチフェロイクス |
Research Abstract |
本研究では,2010 年に室温・弱磁場下で強い電気磁気効果を示すことが報告され,新規な磁気デバイスへの応用が期待されながらも,従来のセラミックス合成法では合成が困難であり,これまで単相合成の成功例が無かったSr3Co2Z 型フェライトを中心とした新規なヘキサゴナルフェライトについて,錯体重合法を駆使した合成を試み,得られたフェライトの電気磁気特性を評価することを研究目的とした. 平成23年度は,SrO-CoO-Fe2O3系を中心とする様々な物質系において,Z型,U型フェライトのCo サイトを種々の2 価遷移金属イオンで置換した組成について錯体重合法を用いた単相合成を試みた.その結果,Z型のCoサイトをZnで完全に置換することに成功し,U型についてはZnのみならずCuやNiでも部分置換に成功した.一部の元素置換試料において電気抵抗率が低下することが明らかになり,Feの一部が2価となっていることが示唆されたため,種々の条件下で酸素アニールを行った結果,抵抗率を上昇させることができた. 計画最終年度である平成24年度は,前年度までに単相合成に成功したヘキサゴナルフェライトのうちZn置換したZ型およびU型に着目し,それらの電気特性および磁気特性について評価を実施した.磁化の温度特性について精密な測定を行った結果,Z型では75%,U型では50%のCoをZnで置換しても,電気磁気効果の起源である螺旋磁気構造が室温下で維持されていることが明らかになった.また複素透磁率の周波数依存性を詳細に解析した結果,Zn置換量の増加に伴って電気磁気効果と密接な関係にある結晶磁気異方性が弱まることを明らかにし,化学組成による電気磁気効果の制御が可能であることを示した. 全研究期間を通じて,得られた研究成果の一部について関連学会における口頭発表(14件,うち1件は発表予定)と論文発表(3件)を行った.
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